エイズ予防指針

出典: Jinkawiki

目次

概要

「エイズ予防指針」とは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に基づき平成11年に策定された「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」のことである。
エイズ予防指針の基本的な考え方は、

  • 疾病概念の変化に対応した施策展開
  • 国と地方公共団体との役割分担の明確化
  • 施策の重点化

の3つである。
エイズ予防指針の施策の3本柱は、

  • 普及啓発及び教育:個別施策層に重点をおいた普及啓発等
  • 検査相談体制の充実:利便性の高い検査体制構築(平日夜間・休日・迅速検査等)等
  • 医療の提供:中核拠点病院の整備を始めとした医療体制の確保

の3つである。

エイズ予防指針とゲイ

ゲイにとってのエイズ予防指針の意味

エイズ予防指針の中でゲイにとって最も重要なものが、個別施策層という概念だ。エイズ予防指針の前文では、個別施策層として、「青少年」「外国人」「同性愛者」「性風俗従事者と利用者」が挙げられている。エイズ予防指針のなかで、同性愛者が個別施策層として規定されたことは大きい。その意味するところは、「同性愛者」という表現が国家による公的指針のなかに明記され、その存在を国が認めたうえで、彼らの人権に配慮したエイズ対策を講じるとしたところである。つまり、日本の同性愛者は人権をもった主体として国家に認められたのだ。

ゲイの「エイズ予防指針」への関与

エイズ予防指針は1999年10月4日に厚生大臣によって告示されたが、この指針の作成には「アカー」のゲイ・アクティビストたちが深く関与していた。
「アカー」とは特定非営利活動法人「動くゲイとレズビアンの会」のことである。個別施策層をエイズ予防指針のなかに盛り込むかどうかが小委員会で議論されていた。そこでアカーは、「指針の中で施策を明確に定義し、内容を空文化させないためには、同性愛者を始めとする具体的な個別施策層をはっきりと列挙することが必要」であると考えていた。
なお、エイズ予防指針のなかに個別施策層という概念を盛り込むさい、ゲイ・アクティビストからの反対意見は一切なかった。


参考文献:新ケ江章友(2013)『日本の「ゲイ」とエイズ コミュニティ・国家・アイデンティティ』青弓社
     http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/aids/

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