エジソンスクール
出典: Jinkawiki
エジソンスクールとは
一般的には民営といわれているが、私立学校ではなく、地方政府や国から資金(税金)を受けて私企業的な経営方法で運営される公立学校としてのスクールである。従って運営の合理化とともに利益追求の学校( for-profit school )との批判も出てくる。 このスクールについてもそうである。 なお、California州は、このような形態のチャーター・スクールを認めている
エジソンスクールの問題点
1.エジソンスクールの在り方について
エジソンスクールに対するサンフランシスコ学校区の姿勢を基にすると、契約の上で、エジソンスクールは同学校区に雇われ、毎日給食、テキスト、通学手段、教員による授業を民間に提供する民間企業にすぎない。契約がある限り、同学校区には同社の営業を停止する権利が認めれられている。したがって、同社が公立学校を乗っ取るという心配は無用かもしれない。この意味で同社の参入に「公教育の民営化」という表現を使うのは適切ではない。むしろ「民間支援」といった表現の方が誤解を招かないといえる。ただし同社の運営については教育委員会や学校区オフィスによる厳しい監視体制が必要であることは言うまでもない。 公教育運営を一手に引き受けている学校区オフィスでは、とくに成績不振の公立学校の改善に力を入れてきた。しかし自前の改善をあきらめざるを得ない公立学校に対しては、同学校区教育長ウォルデマー・ロハス氏が批判覚悟で新しい運営方式を導入した。チャータースクール導入もその一策であるし、その運営に非営利団体営利団体の参入を認めたのも窮余の策である。いわば、発展途上国が外資を招致・優遇するかのように、外国団体の参入を認めたのである。極論すれば、成績不振の公立校を再建してくれるのなら、営利であろうと非営利であろうと贅沢はいえない、という姿勢が学校区オフィスにはある。
2.エジソンスクールの戦略について
エジソンスクールがいわゆる「マック・スクール」の実現をあきらめ、既存の公立学校運営に乗り出したのは、スタート・アップのためのインフラ投資を節約するためである。また、公立学校1校の運営から生じる同社の利益はたかがしれている。採算をとるためには少なくとも100校以上の運営が必要であると言われている。したがって誕生まもない同社は運営校の拡大に努力している。ある町で運営校を創ると、標準テストによる客観的な結果が出る前に、広告媒体を使いあっという間に一流校のイメージをつくり、その評判をひっさげて 次の町で新たな運営に乗り出す。サンフランシスコで統合学校区でも、エジソンスクール運営校の客観的な評価は出ていない。 さらに営利企業の宿命として、あらゆる無駄なコストを省こうとすることも問題点の一つである。例えば教材、教育プログラム、教授マニュアルのパッケージ化はその典型である。生徒の必要に合わせてプログラムするのではなく、プログラムに合わせて生徒を教育する。したがって手のかからない生徒を集めるという。よって特殊なサポートを必要とする特殊教育は最も苦手な部分であるとされている。
3.ドナルド・アンド・ドリス・フィッシャー財団の寄付について
現在カルフォルニア州の公教財政は悪化している状態にある。97-98年度の生徒一人あたりの寄付金を見ると、カルフォルニア州は$5.789であったが、ニューヨーク州は$8.442、ニュージャージー州は$9.644であった。ちなみに全国平均は$6.131であった。すなわち、物価が高いため運営費が高く生徒数が多いにも関わらず、予算は最低の状態にあるのである。したがってフィッシャー財団からの寄付のような援助がない限り、エジソンスクールはカルフォルニアでは営業できない。企業文化が教室に入り込み公教育の基本方針を破壊してしまうのではないかという不安を基に、エジソンスクールを受け入れるチャータースクールだけを資金援助するというフィッシャー財団のやり方は多くの批判を招いている。
4.エジソンスクールの教員待遇について
エジソンスクールの教員は1日8時間、1年190日間働くのに対し、他校の教員は1日7時間、1年181日間働く。さらにエジソンスクールの教員の年収は新任で$33.972、他校の新任は$31.172である。ベテラン教師になるとその差は$3.600となる。給与総額だけを比べれば、エジソンスクールの教員の方が高い。そのためか、志願者も定員を上回る。しかし実際にはエジソンスクールの教員の契約が守られれば、教員の給料はもっと高くなるはずであり、労働時間に見合う収入が得られていないのが実情である。
参考文献:http://ci.nii.ac.jp/naid/110004042110/ja/
http://www.aba.ne.jp/~sugita/47j.htm