エスペラント18

出典: Jinkawiki

目次

エスペラントとは

エスペラントは1887年、当時ロシア領だったポーランドのユダヤ人眼科医ザメンホフ(L.L. Zamenhof) が提案したものです。ヨーロッパ諸語の語彙を取り入れながら、文法を整理してある ので、比較的簡単に修得することができます。 エスペラント(Esperanto)は中立公平で学びやすい国際共通語です。 エスペラントは民族の言語や文化をその歴史的遺産として尊重し、大切にする と同時に、それぞれの言語や文化の橋渡しの役目を果たすことを目的としています。 世界の多くの文学作品がエスペラントに翻訳されており、エスペラント原作の 文学も数多く著されています。 実用書や科学技術の専門書はそれに比べれば多くはありませんが、碁や空手、マッサージ、 料理から中国哲学、経済学、気象学、解剖学にいたる幅広い分野の本が出版されています。 歌のCDや映画のDVDもあります。 エスペランティストの交流の場の一例として世界エスペラント大会が毎年開か れています。2007年に日本[横浜]、2008年にオランダ [ロッテルダム]、2009年にポーラ ンド [ビャウィストク]にて、通訳のいない国際会議が実現されています。 日本では年一度の日本エスペラント大会 の他、5月の合宿形式のエスペラント・セミナー、 夏または秋の林間学校などが大きな行事です。 インターネット時代になり、エスペランティストの間では、個々のメールのや りとりはもちろん、 メーリングリスト、ポドキャスティングによるニュースの配信なども行われていま す。

エスペラントの由来

ザメンホフは このことばを「Lingvo Internacia」(国際語)という題の小冊子で発表しました。 Esperanto は、これを発行する際の彼の筆名であり、この単語には「希望しつつあるもの」という意味があります。 このことばを自分のものとして大切に思う人たちは今でも「エスペラント語」ではなく「(国際語)エスペラント」とよんでいます。また、人類がその視野を宇宙にまで広げた今、国境の概念にとらわれた「国際語」の冠を捨てて、このことばを「地球語エスペラント」とよぶ人もあらわれてきています。


世界の言葉とエスペラント

まず、発声については、母音は日本語(!)や スペイン語、イタリア語とほぼ同じ。子音は、英語にいちばん近い。アクセントの位置ではスペイン語やイタリア語と同じ。全体として、耳で聞いた感じでは、スペイン語のような印象です。 語彙の大部分は、ヨーロッパの主要言語から採用したものです。 D.B.グレガーの研究によれば、創始者ザメンホフがはじめに制定した基本語彙2612個の語根のうち、 (少数のギリシア語由来や人工語彙を除いて) 純スラブ系(ロシア語など)は29個、純ゲルマン系(英・独語など)は326個、純ラテン系(仏・西・伊語など)は861個、ラテン系由来のゲルマン系は663個となります。つまり、ラテン・ゲルマン系が合計1,850個で全体の66%を占め、西欧的性格が明瞭です。 しかし、構文という点では、比較的自由な語順や無人称構文の用法などで、むしろスラブ語に似ているとも言えます。 最後に、言語の構造から見ると、ラテン・ゲルマン・スラブ系の言語(「ヨーロッパ語」)は文法的機能を語形変化によって表す「屈折語」ですが、エスペラントは語根に接辞や語尾を添加する方式による「膠着語」(または「孤立語」)によく似ています。つまり、日本語や中国語に近いとも言えるでしょう。


世界共通語

英語は「民族言語」です。ほんらい、英語はいわゆる英語圏の人々の言葉です。もし「世界共通語」になったら、英語圏の人々は、国際交流で圧倒的優位を占めるようになります (同じことは他の有力言語についてもあてはまります)。 次に、英語は「自然言語」です。はじめから一定の方針に基づかず、長い間に自然にできあがったために、言語として首尾一貫した原則を欠き、不規則事項や慣用語法がたくさんあります。どこの誰でも気楽に使える「世界共通語」になるには、難しすぎます。 言い換えれば、英語は「特権言語」ということです。習得が困難なため、お金とヒマがある人でなければ、なかなか使いこなすまでにはいきません。いっぽう、エスペラントは覚えやすく、普通の人でもやる気さえあれば比較的速く基礎を身に付けることができます。繰り返しとなりますが、「世界共通語」となるための要件は、中立・合理・容易です。「特定の言語に特権を与えず、仕組みが規則的で、学び易い」ということです。 現在、英語が広く使われて、あたかも「世界共通語」のように見えますが、これは一時の便法に過ぎません。人類の言語問題の解決は、真の意味での「国際共通語」によるほかはないと思います。


参考文献 一般財団法人 日本エスペラント教会 「Revuo Orienta (1997年1月号)」

H.A


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