エスペラント20

出典: Jinkawiki

エスペラント18 エスペラントは、中立で使いやすい国際共通語である。 エスペラントは民族の言語や文化をその歴史的遺産として尊重し、大切にすると同時に、 それぞれの言語や文化の違いを越えて人々がコミュニケーションできるようにするために 橋渡しの役目を果たすことを目的としている。 現在、多くの分野で英語が事実上の国際語として使われていることは否定できない。 しかし、英語は特定の民族、国家の言葉である。英語でのコミュニケーションは英語の ネイティブスピーカーにとっては都合のよいことであるが、外国語として勉強する必要のある 人間にとっては不都合だ。これはコミュニケーションとしてフェアなあり方ではない。 エスペラントは、特定の民族集団や国家、地域と対応しておらず、その大部分の話者が、 この言語を自分の意思によって選択して学習し、その結果として習得した人であるという点で、 極めて特徴的である。自分の母語を他者におしつけることなく、それぞれが他者に歩み寄る姿勢を もっているのだ。 このため、エスペラントの使用者(エスペランティスト)はそれぞれ個人として平等の立場に 立って話し合うことができる。この意味でエスペラントは中立公平である。 エスペラントは1887年、当時ロシア領だった現在のポーランドに住むユダヤ人眼科医ザメンホフ (L.L. Zamenhof)が提唱したものだ。単語の要素(形態素)を主にヨーロッパ諸語から取り入れ ながらも、語構成(造語法)と文法が整理されていて、他の言語に比べてはるかに容易に修得する ことができる。文法の概要は 「エスペラントの鍵」 に手際よくまとめられている。 エスペラントの言語共同体は、自分の母語に加えて、特定の民族集団に属さない言語を 意識的に選択した上で学習して使用するという共通の意思と行為を基礎にしてゆるやかに 結ばれている。個人の自由意志に基づいているため、その基盤は必ずしも強固とはいえず、 また、捉えにくい側面がある。しかし、2回の世界大戦、冷戦体制とその崩壊などの社会的な 激動の中を、120年以上にわたって、エスペランティストたちは中立公平な国際共通語の実践を 続けてきた。これらの人々の活動によって、エスペラントは生きた言語として育ってきている。 世界では、ヨーロッパが活動の最も盛んな地域ですが、アジア、アメリカ、 オセアニアそしてアフリカなど世界各地にエスペランティストが存在する。 東アジアでは日本の活動が特に有力である。エスペラントは20世紀のはじめごろからさまざまなルートを通して日本に伝わってきたが、1906年に 二葉亭四迷が日本 最初の教科書を刊行し、黒板勝美らによって日本エスペラント協会が設立されて、 組織的な活動が始まった。その後、多くの人々が直接間接にエスペラントに 関わり、活動が続けられてきた。 日本における組織的なエスペラント活動の100周年を記念して、それらの人々の事跡を記録する 『日本エスペラント運動人名事典』の刊行の計画が進行している。

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