エフタスコーレ
出典: Jinkawiki
【概要】
エフタスコーレとは、デンマーク独特の学校形態である、全寮制の中学校を指し示す。学校法人が運営するフリースクールであり、14歳から18歳の学童を対象としており、8年生―11年生水準の教育を実施する。 エフタスコーレには長い伝統があり、最初の学校は1851年に設立されたといわれている。地方の農家の子弟を対象に、当時の小学校教育の延長及び補足の教育を施すために設立された。 それ以降、エフタスコーレは全国に広がりをみせ、現在ではおよそ250校、生徒数に関しては、義務教育卒業者の2割強がエフタスコーレを卒業しているとされている。
【特徴】
エフタスコーレは民間の学校法人制度に基づいて運営されているが、運営費の大半は公的な助成金によって支えれており、収入が確保されている。また、親が負担する学費に関しては、個別的に国や出身自治体からの奨学金制度が設けられており、低所得家庭及び障害児童の場合は、家族負担は一般的な家計の育児費程度に抑えられている。 エフタスコーレは、法的には「全ての学童を対象とすること」と定められているが、実際は、設備不足や特別専門知識を持った職員及び教員が不在のため、障害児童の受け入れが出来ない場合が多い。 他方で、特定の機能障害を専門とした特別なエフタスコーレも存在している。失読症の他、ADHD(注意欠陥多動性障害:幼児期から見られる発達障害の一つ。年齢不相応な多動症、注意の持続困難、衝動性などが特徴。家庭や学校でじっと座っていられないなどの状態を呈する。)、聴覚障害、視覚障害、発達障害などの障害児教育を専門とする学校で、全国で40校程度あり、これらの学校の生徒数はエフタスコーレ全生徒のおよそ15%を占めている。 エフタスコーレは、思春期の子供たちが抱える問題に対応することに大きな経験と知識を蓄えており、デンマークにおいて、日本の社会的現象である「登校拒否」の問題が発生しない大きな要因の一つであるといわれている。 エフタスコーレにおける大きな成果の要因としては、義務教育で要求されている読み書きなどの必須科目の他に、生徒の興味や関心を喚起させるために、学校によって様々な特長を持たせた科目を提供していることが挙げられるだろう。音楽、スポーツ、造形、美術、メディア、農業などと、合計で200科目以上の選択肢が用意されており、生徒に自主性を尊重しながら個別的な能力及び学力を最大限伸ばす努力をしていることが理解できる。こうした裏付けされた努力のみられる教育形態であるゆえ、数年前から入学申請をしなければ入学ができないほどに人気のある学校であるといわれている。
【参考文献及び参考サイトURL】
「デンマークの生涯学習支援」 http://ejiten.javea.or.jp/content.php?c=TmpJd05qQTQ%3D 「デンマークの生涯学習戦略に関する一考察」 http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/35631/1/KyoikugakuKenkyukaKiyoBetsu_19_2_Sato.pdf 「福祉の国は教育大国―デンマークに学ぶ生涯教育」(2004.3) 著・小島ブンゴート孝子 出版・丸善
投稿者nagano