エリート

出典: Jinkawiki

エリートとは、社会の中で優秀な能力や影響力を持つ人間や集団を言う。

社会においてエリートは指導的な影響力を持っている。社会科学的には社会システムの上位を占める集団であり、高度な権力、戦力、財産、知識、名誉などの諸価値を保有する。そしてそれらを用いて社会の各分野や職業集団でその構成員の態度や行動を主導することができる。

エリートは試験や訓練を通してふるいに掛けられ、厳選されて教育を受けてきた存在である。そのような人は組織にとって財産でもあるため、人材の一種といえよう。

世界的にも、古くから様々なエリート育成コースが存在しており、これらでは特に適性のある者を専門に教育する事で、社会的に有益で優秀な人材を輩出している。この過程を経て社会で活躍する人は多く、高い給金や生活の保証・能力の発揮に必要な権力の提供などが補償されるなど、それなりの社会的地位を持って優遇されている事も多い。 ただし近年では、様々な社会問題において対応の失敗や未解決となっている案件も多く、その延長でこれらの解決にあたっているエリートが批判されたり、エリート教育を受けた者でも低く評価される学歴難民などの問題も指摘される。 また、このように、エリートを批判する傾向は、子ども達の「学習する意欲や関心の減退」という問題の一因でないかという指摘もある。一方で、テレビ等のマスコミがエリートを批判するのは、小市民のエリートに対するルサンチマンをくすぐり、視聴率を上げるためだとの指摘もある。案外、テレビ局の人自身がルサンチマンを持っているのかもしれない。

エリートの種類

・政治エリート

政治エリートは国家を指導する政府と行政機関を構成する人々である。政策実施の意思決定を主導する観点から政策エリートとも言う。その発生は行政機関の機能拡大、大衆社会の成立、中間団体の消失などによる。なおガエターノ・モスカ、ロベルト・ミヒェルス、ヴィルフレド・パレートなどが政治的エリートについて論じている(寡頭制、寡頭制の鉄則を参照)

・経済エリート

経済やビジネスの分野で十分な教育と経験を積んだ人々は、経済エリートに属する。ブランド大学やいわゆる「名門校」では、卒業生達が巨大企業に幹部候補のビジネスマンとして採用されるが、これは特定の大学が商工業と強い結び付きがあるためであり、「財界エリート」輩出の基盤となっている。また、理学工学の分野でも、一部の教授や研究室が特定分野で大きな影響力を持っているといったように、エリート志向の傾向が見られる。

・軍事エリート

軍事エリートは軍部において意思決定を主導する人々であり、軍令機関の高級将校や軍事行政機関の高級官僚がこれに当たる。軍事情報や専門的な軍事知識を保有し、さらに外敵の脅威を主張することによって軍事エリートは国内において社会に対する強制力や影響力を強化し、政府や財界に対する発言力や影響力を確保することができる。

・他のエリート

[文化的エリート ]

文学や芸能、芸術の分野において十分な教育と経験を積んだ人々は、文化的エリートに属する。左記の分野は、未経験者が安易に参入できるものではなく、事実上のエリート集団によって構成されているといって差し支えない。但し、大衆文化に関してはその限りではない。もっとも、親から子への文化資本の継承という観点から、大衆文化においてもエリート層が成立しているのが実体である。

[スポーツエリート]

スポーツの分野でも、親の英才教育によって小さい頃から専門的に育てられたいわゆる「スポーツエリート」も見られるが、これはどちらかというと、個人がそのように選択し、望んでより良い環境を求めて育ってきた反面、当人の資質に負う所も大きく、個人属性としての「優秀なスポーツマン」と見なされる事は在っても、厳密な意味でのスポーツエリートは極めて稀な存在といえよう。 ただし以前の旧共産・社会主義圏においては、稀というわけではなかった。1980年代頃まで、東西冷戦時下の関係により、国威発揚と民主・自由経済陣営に対する牽制の一種として、国家がスポンサーに付いていたり、専門の教育機関で育てられた選手集団が存在したので、これらは実際の所として「スポーツエリート」以外の何者でもなかった。 これら旧共産・社会主義圏のスポーツエリート達は、国家単位でそれなりに優遇(年金の受給を含む社会保障制度や、一般には認められ難い海外渡航がしやすい等)されていたが、その一方で生活の細部までもを徹底的に「スポーツで良い成績を残すため」だけに管理され、恋愛や結婚もままならなかったという。中には非社会主義圏へと亡命するスポーツエリートまで見られた。(ナディア・コマネチはその亡命スポーツエリートの一人である。ただし亡命は引退後なので、「元エリート」であるが。)

日本のエリート育成

日本では明治期以降、東京帝国大学などの帝国大学、それに連なる旧制高等学校、「一中→一高→帝大」などと喧伝された東京府立第一中学校をはじめとする各地の官公立旧制中学校のナンバースクール出身者がまず筆頭に挙げられる。また、時にそれ以上の権勢を振るった存在として陸軍幼年学校→陸軍士官学校→陸軍大学校(及び陸軍砲工学校や東京帝大等の学士号以上)や、海軍兵学校成績優秀者(→海軍大学校)出身者が知られている。


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成