エンパワメント2

出典: Jinkawiki

エンパワー(empower)とは、パワー(power)に、引き出すという意味をもつエン(em)という接頭語をつけて「力を引き出す」の意味である。エンパワメント(empowerment)はその名詞形で「(内在している)力を引き出している状態」や「能力や権力を与える」という意味を持つ。つまり、個人や集団が自分の人生の主人公となれるように力をつけて、自分自身の生活や環境をよりコントロールし、自分らしくいきいきと自己決定的に生きている状態が実現していることをいう。人と人との関係、人と社会との関係において、互いの内在するちからにどう働きかけ合うか、お互いがそれぞれもつ力をいかに発揮し得るか、を関係性のなかでとらえる視点が重要である。日本ではエンパワメントを「(社会的弱者が)力をつけること」と訳すことが多いが、これでは人間の内在する力に注目しておらず、力は発揮されない状態にある弱者に対して「力を外からつけてやらねば」的な強者の視点で、本来の意味からかけ離れてしまう。すべての人は生まれながらにして、さまざまな力、可能性、個性などを内在化している、というのがエンパワメ ントの思想である。内在するちからは肯定的なパワーといわれる知識、経験、技術、自己決定、援助、共感、信頼、愛などを得ることによってますます活性化される。さらには、肯定的パワーを自分と他者との間に循環させていく関係をつくり出していく。これがエンパワメントね状態である。一方で否定的なパワーといわれる暴力、抑圧、権力、支配、戦争、いじめ、虐待、無視、無関心などによってディスエンパワメント(disempowerment、無力化)され、パワレスネス(powerlessness、力の発揮されない状態)が起こる。

歴史的背景

エンパワメントは、米国において1960年代から1970年代の公民権運動や、女性解放運動のなかで語られるようになったといわれる。文献ではソロモン(BarbaraSolomon)が1976年に著した『黒人のエンパワメント~抑圧されている地域社会におけるソーシャルワーク~』に登場する。1980年代にはいって、社会運動、福祉、社会開発、コミュニティ心理学、リハビリテーションなどの各分野での研究が進んだ。近年は、研究分野でも、障害者のエンパワメントに関するテーマが見られ、DINFでは、「平成17年度厚生労働省労働科学研究障害保健福祉総合研究成果発表会報告書」として「障害者のエンパワメントの視点と生活モデルに基づく具体的な地域生活支援技術に関して」を掲載している。

参考文献

社会福祉法人 大阪ボランティア協会・編集 ボランティア・NPO用語事典 中央法規

参考URL

障害保健福祉研究情報システム http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/glossary/Empowerment.html


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