オランダのオルタナティブスクール

出典: Jinkawiki

目次

オルタナティブ・スクールについて

「オルタナティブ・スクール」とは、特に初等・中等教育の中で、公立や私立学校に関わらずこれまでに従ってきた学校と比べると柔軟性のある学習プログラムを持つ学校を意味している。そもそも「オルタナティブ」という言葉の意味としては、「何かにとって代わる」や「もう一つの別のやり方」といったような意味合いがある。そのため、オルタナティブ教育というのは、これまでの教育に取って代わる別の教育という意味になる。これまでの教育といわれるのは簡単に説明すると、長い間習慣とされてきた同じ年齢の児童・生徒を一つの教室に集め、先生が教壇に立って、主として一方通行の形で知識を伝達し、児童・生徒はそれを受動的に習うという形式の教育、教科書やワークブックを中心とした学習、試験成績の良し悪しによって生徒を区分けするシステム等の教育の形が挙げられる。オルタナティブ教育は、多くの教育哲学者や教育実践者が、そのような既存の学校教育に疑問を投げかけて新しく生み出してきた何種類もの教育方法の総称ということになる。こうした教育方法を実践している学校がオルタナティブ・スクールなのである。

オランダの実践

オランダでは、国の教育制度改革が日本と比べると比較的柔軟に行われ、各々の学校で個別の必要に応じて常に新しい教育方法が取り入れられている。そのため、教育というものが時代と共に常に新しく刷新されていくものという考え方が強い。オランダでは、教育の自由や学校設立の自由のために、教育方法の自由が最大限に認められている。そのために多くのオルタナティブ・スクールが短期間のうちに広く普及した。こうしたことから、オランダでは、子供の学校の候補にあがる学校の中に一つか二つのオルタナティブ・スクールが入っているのは普通のことである。オランダにあるオルタナティブ教育として主なものは、モンテッソリー教育、ドルトン教育、イエナプラン教育、シュタイナー教育、フレネ教育という五種類の教育があげられる。

五つの教育の特徴

これらオランダのオルタナティブ・スクールは、子供を知識の達成目標に近付けるためにではなく、子供の自発的な好奇心や探究心を刺激して、子供たちが生まれ持つ独特の性質や能力に応じて成長を助けることが教育であると考えるように、いくつかの共通した考え方やこれまでの教育を批判する際の共通した態度を見ることができる。また、これらの子供がおかれている生活環境やその延長線上にある社会、世界とのかかわりを大変重視しているということも特徴的である。子供が人と人とを繋ぐ社会的な行動を学ぶことの重要性を強調しているといえる。個性を育てるといった観点からそれぞれの教育を見ていくと、モンテッソリー教育では、読みや書き、計算を教えるときに、児童・生徒が実際に手に取り、触れることが出来る具体的な教材作りをし、先生が刺激を与えることで、自らが発見しながら学ぶことを重視している。ドルトン教育では、子供自身が自分で決めた時間割を実行するというやり方があり、これには、子供の内発的な要求や自発性の尊重が見られる。さらにこの教育では課題を達成し、先生との約束を守るといった責任を強調している。フレネ教育でも子供の積極性や自立性、好奇心を大切にしている。ここでの大きな特徴は、自分の考えを作文化し、言葉にして表すということである。これにより、自分自身の考え方、意見等を自覚することにつながる。またイエナプラン教育には教育の原則として、「イエナプランの基本原則」が20項目ある。そのなかにも子供や個人についての考え方が示されており、子供たちや社会に対する理想等に関しての教育の原則が明記されている。さらにシュタイナー教育でも、個々の子供の自発的な発達を重要視している。オイリュトミーという身体表現運動をはじめとして、子供たちに絵を描かせたり、演劇に参加させたり、楽器を持たせるなどの芸術的な教育では、子供たちが自分の感情を内発的に心、身体を使って表現することが大切であるとした。このように5つのオルタナティブ・スクールでは、個性を育てるという教育を大切にしていることが分かり、またこの他にも外界や社会関係に目を向けるという教育を実践しているのである。

オルタナティブ・スクールの取り組み

こうした5種類のオルタナティブ・スクールは、それぞれ共同して協会を作り、相互交換の活動やさらに時代の要請に応じた方法を新しく考えることや、独自の教材の開発等を行っている。また、これらのオルタナティブ・スクールが集まって共同のオルタナティブ・スクール協会を作り、国家政策の管理や政策等について意見をしたり、時に反論などをしたりしている。子供たちの個性を尊重し、理想の社会を描いた教育を実践しているこれらの学校の存在は、オランダの学校教育に大きな影響を与えてきたといえる。


参考文献

http://100.yahoo.co.jp/detail/ オルタナティブスクール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

オランダの教育  平凡社


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