オランダの入試制度
出典: Jinkawiki
オランダには、大学入試が存在しない。そのため、塾も受験産業もほとんど見かけず、高等教育機関の卒業試験をクリアすることで大学入学資格を得ることができる。そうした教育システムの背景には、「教育の自由」というものが存在する。オランダでは、フランスのナポレオン支配下だった19世紀、宗教的に中立の公立学校には国が教育費を出すという学校制度が生まれ、公教育が確立された。それは、ナポレオンが去ってオランダ王国になってからも残り、その後、プロテスタントやカトリックの教会が運営していた私立学校にも「公立校と同じように政府の補助金を出すべきだ」という声があがった。「学校闘争」と呼ばれる90年にわたる闘いの末、1917年に世界でも稀な「教育の自由」が確立したのである。「教育の自由」とは、「教育理念の自由」「学校設立の自由」「教育方法の自由」という三つの自由から成り立っている。宗教にかかわらず教育理念にもとづいて学校教育を行う自由が認められたことで、学校でも宗教教育もできるようになった。宗教団体や市民の協会が母体となり、保護者など200人以上の署名が集まれば、学校を設立することもできる。こうして、カトリック、プロテスタント、自由主義派、イスラム・ヒンドゥー教などの学校が次々と生まれていったのである。オランダでは、授業の合間に生徒たちがひとりひとり、教室の横にある個室へ行き、CITO(シト)という、日本でいうならば、センター試験のようなものを定期的に受けされられる。試験期間は3日間、試験科目は国語、算数、理科、社会、総合学習能力である。このテストは、小学校1年生(満4歳)の時期から始まり、中学校へ進学するとき(満12歳)に小学校時代に収めた成績として重要な意味を持つようになる。このCITOテストの結果がすべてよければ、優先して希望する中学校への入学が許可される。
参考文献
オランダの個別教育はなぜ成功したのか リヒテルズ・直子