オランダの学校選択2
出典: Jinkawiki
まず、オランダでは小学校を「選ぶ」ことが出来る。
オランダの小学校の選択について考える前に、日本について考えみたい。日本では、小学校に入学するとき、居住地によって学区が決まっていて、家から近い公立の小学校に入学する子どもがほとんどである。私立校(いわゆる、お受験である)という選択肢もあるが、「選ぶ」というより、「選ばれる」という感じである。また、公立と私立では、学費に大きな差があり、お受験に成功して選ばれたとしても、実際には費用の面で「選べない」こともあるだろう。これらのことから、日本では、そもそも小学校の選択肢がほとんどなく、小学校を選ぶということはあまりない。
では、オランダの小学校を「選ぶ」とはどういうものだろうか。
まず、「学校選択の自由」について。日本と違い、オランダには学区制がない。そして、親が自由に学校を選ぶことが出来るのである。オランダでは、子どもが小学校に入学できる4歳になったとき、市内にある小学校のリストが送られてくる。リストは、公立校、私立一般校、私立カトリック校、私立プロテスタント校などに分けられていて、それぞれの学校の特徴や教育理念が記載されている。これに加えて、義務ではないが、「オープンデー」という学校を開放して、実際に学校の雰囲気や生徒たちの様子を直接感じられるものもある。また、オランダの小学校の規模は、学年あたり1クラス~2クラスであり、全校生徒数は全国平均250人と日本の小学校から見れば小規模である。このような学校が、近所の通学範囲に10前後あるようだ。そして、どうしても遠くの学校に通いたい場合については、許可されれば、通学費の一部を政府が負担してくれるのである。こうして、オランダでは、親が子どもに合う学校を「選ぶ」自由がある。 次に、学校の「選択肢」について。オランダでは、それぞれの学校が強い個性を持っている。先に述べたように、オランダの保護者には学校選択の自由があり、学校側も、入学を考えている子どもや保護者に対して、その学校の特徴・個性を強調するのである。また、その個性も多様なものであり、学校は一つひとつ「違うもの」なのである。
参考文献
リヒテルズ直子『オランダの教育』平凡社
長坂寿久『オランダを知るための60章』