オランダの寛容
出典: Jinkawiki
オランダ人は寛容だといわれる。よく知られているのは、麻薬・売春・安楽死・同性婚が合法化していることであろう。オランダ以外でそこまで認められる国はないだろう。合法化とはいうものの本当は前の3つは法律で禁止されている。
麻薬の中で中毒性が弱いソフトドラッグがいずれも定められた条件下で、一定の厳しい規則・管理に従って行われる限り、不起訴処分にするという行政指導をふまえ、ソフトドラッグは吸うことができるとされている。ソフトドラッグの対象は個人使用の大麻であり、ごく少量なら黙認された。ヘロインなど習慣性の強いハードドラッグは禁止されていて、麻薬に対する教育も徹底されているので若者の麻薬中毒者比率は年々減少しているという。
売春も指定された地域の飾り窓のオーナーにお金を払うことで飾り窓の中で立つことができる。オーナーは安全な環境を整えて、定期的な健康診断も行い、市役所に営業する女性の名前を登録することで経営できるそうだ。また、彼女たちがドアを開けて客の袖を引いてしまうと違法になるという。
安楽死(尊厳死)には5点の執行要件がある。
①患者の自由意志であること ②患者は医師から病状と予後について知らされ、熟慮の上での要請であること ③患者の真摯で継続的な希望であること ④回復不可能で、耐え難い苦痛が存在すること ⑤ほかの医師に相談すること
オランダは寛容的だが、上記のように黙認といった形をとることもよくある。日本人が考える「寛容」とは意味合いが違うのかもしれない。 オランダ人はいろいろなものを受け入れるが、寛容というより見て見ぬふりをする。日本人もそうだが己の自由を侵害されることは嫌がって寛容さを忘れてしまうこともあるだろう。。
参考文献
長坂寿久(2007)『エリア・スタディーズ62 オランダを知るための60章』明石書店
ロドニー・ボルト(1999)『オランダ人のまっかなホント』玉木亨訳、マクミラン ランゲージハウス