オルタナティブ教育3

出典: Jinkawiki

目次

概要

 初めに、そもそも「オルタナティブ」とは、「代案・代替物」や「既存の支配的なものに対する、もう一つのもの」といった意味がある。(広辞苑 第五版)ここから派生して、オルタナティブ教育とは、既存の公教育や学校教育にとって代わる教育のことである。これが生まれた背景としては、近代教育に対する問題意識が大きいとされている。オルタナティブ教育は3つに大別することができ、その総称がオルタナティブ教育なのである。3つの分類としては、①独立型、②宗教立型、③公立型になっている。①は、ルソーやニイル、シュタイナーの影響を受けた学校が多く属しており、伝統的な教育組織とは一線を画している。②は、世俗的な公立学校の体制外で展開される、キリスト教などの宗教団体による学校が多く属している。③は、刷新的な教育改革によって自己変革した伝統校や公立制度の中に、モンテッソーリやシュタイナーの教育理論・方法を導入した学校が多く属している。


特徴 

 20年以上にわたってニュージャージー州を中心に教育改革に従事してきた、ジョン・マルマイヤーは、オルタナティブ教育の特徴を次の4点にまとめている。①公教育への批判的な視座、②成員の親和性、③関心(concern)とケア(care)の文化、④子どもやスタッフの高い参画意識、である。小規模なコミュニティ実現可能な家族的な雰囲気があり、生徒同士の競争よりも協力が重んじられている。また、画一的な教育では軽視されがちな子どもの個性も重視され、生徒自治などを通して自分たちの学習と生活を自ら組み立てていくという学校像がある。 ここまでは、アメリカのオルタナティブ教育に関しての特徴を見てきたが、ヨーロッパでも同じような傾向がみられる。生徒の個性と自己決定、選択幅の広いカリキュラム、学習の個別化と共同性、バランスの取れた発達、小集団や異年齢集団、授業内容な学校経営への生徒や親の参画などが重要な特性として挙げられる。


デンマークのオルタナティブ教育 

 デンマークでは、日本のように就学義務がなく、ホームスクーリングや自分たちで自分たちの学校を創る権利が2世紀近くにわたって公認されてきた。オルタナティブ教育を取り入れた学校は、デンマーク国内の全学校のうち1割ほどで、約12%の就学年齢の子どもがオルタナティブ教育を享受している。一口にオルタナティブ教育といっても内容は様々で、伝統的なフリースコーレやその中等教育版で全寮制のエフタースコオーレ、リレスコーレ、レアルスコーレ、国境近くに暮らすドイツ人学校、シュタイナー学校、モンテッソーリ学校、イスラム系の移民による学校などである。 また、親が参画して学校を創っていこうとする意識が世界的に見ても最も強いのも、デンマークの特徴の一つである。学校の運営の経費や施設設備、授業の進め方、取り入れる教科など、様々な側面において学校、親の両方の意見を取り入れて学校を子どもに最善の状態で提供できるようにしている。


参考文献 

・永田佳之『オルタナティブ教育―国際比較に見る21世紀の学校づくり―』(2006)新評論

・武市一幸『コルの「子どもの学校論」 デンマークのオルタナティヴ教育の創始者』(2007)新評論


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成