オーストラリアの学校教育2
出典: Jinkawiki
1.学校の風景 オーストラリアの学校は全国的に見て、スクールバスでの登校か保護者の自家用車での保護者による登校が多い。この背景には広い国土からくる遠距離通学もあるが、その上、車社会による自家用車での保護者の送迎が当然とする風潮もある。 入学式や学期の始まりについては、日本のような儀式があるわけではない。私立の場合、行かせたい学校がある場合は登録しておけば就学の年齢になると入学許可証が送られ、公立の場合は、就学の書類に指定された日時に登校すればクラスが指定されており、学校生活が始まる。 教師の様子として、教師の服装は自由とされており、付け爪をした教師などもいる。職員朝礼のようなものはなく、午前10時半前後にスタッフルームに集合してお茶を飲む。この時に、連絡事項や学校運営に関する話し合いを行う。 褒章制度がとられている学校もある。その目的として児童生徒の社会の一員としての自覚を醸成するためで、地域社会での積極的な奉仕活動、学校内での指導力、学校内行事への積極的な参加などについて委員会で検討して賞を与えるものである。オーストラリアの教育の基本は「褒めること」であり、これはその理念を具現している制度である。
2.学校の特色 オーストラリアは移民を大切にする言語教育を行なっている。多民族国家といわれるこの国では、多くの国からの移民に対して、生活に困ることのないように言語教育を重視している。英語圏以外からの移民で英語を話せない人に対する言語教育は各州・区の小学校段階から盛んに組み込まれている。英語以外の言語教育では、移民の母語を忘れさせないためのもので、ある学校の地域にギリシャからの移民が多く居住している場合は、ギリシャ語を教えている。 多文化主義教育とは、「多民族国家で、多様な文化的・民族的な背景をもち、社会的に不遇な立場にある者に対して、平等な教育機会を保障するために、彼らのもつ文化的特質を尊重して行われる教育」と定義されオーストラリアで行われている。 またオーストラリアの学校教育の特色の一つに、先住民の教育があげられる。すなわち、先住民に対する教育と非先住民に対する先住民を理解するための教育である。先住民と非先住民の共生社会の実現に向けて努力している。
3.学校改革の動向 現在のオーストラリアの学校改革の動向は、1999年に採択された「アデレード宣言」が大きな影響を与えている。アデレード宣言とはMCEETYAが公表した宣言で、各州で実施を促したものである。この審議会は全国の州・区で共通して取り組んでほしいと期待する事項について、全国・区の教育大臣、事務次官など教育の責任者が集まり、いわば教育に関する最高の審議機関である。これまでにもホバート宣言を出してきた。