オープン・エンロールメントプログラム
出典: Jinkawiki
オープン・エンロールメントプログラムとは、「ウィスコンシン州内のすべての生徒に対して、居住する学区以外の学区に開設された公立学校、もしくは幼稚園前の教育施設早期教育、学校の経営する託児所・保育所に入学を認めるプログラム」と定義される、学区外選択を認める制度である。この選択性は1998-99年度より州教育委員会の管轄の下で州内全学区を対象とするプログラムとして導入されたが、同制度の導入により同州の生徒は州内いずれの公立学校にも進学が可能となったのである。
1997年、ウィスコンシン州議会にて州法27条の成立によって導入が認められた本プログラムは、そもそも州議会の上院・下院において、学区間の選択制を公教育に導入したいという意向を持つ議員が連合し、1993-94年度及び並びに1995-96年度の合同議会において同制度の提案書を作成したことに始まる。提案書は衆議院特別委員会の編集を経て完成され、1997年の合同議会に州教育長ベンソンによる予算申請という形式でトンプソン州知事に提出された。トンプソン知事は1997-99年の両年度予算法案に両議院の提案書を含め、1997年9月30日、州議会において本法案は可決された。この法案に従い、州内のすべての公立学区において「オープン・エンロールメント制」が導入されたのである。
この時点での予算申請書においては、オープン・エンロールメント制の導入目的として、①学校間に生徒獲得の競争を促すことになるので、学校教育における教育改善をもたらすものとなること、②親に学校選択の機会を与えるものとなること、の2点が挙げられており、特に「競争原理導入」の施策としての導入目的が明確に位置づけられたのが特徴である。
本プログラムは「①全日制オープン・エンロールメント」と「②定時制オープン・エンロールメント」という2種類の形態で導入された。まず、現時点で生徒利用の大半を占めている「全日制のオープン・エンロールメント」とは、「1998-99年度より開始され、入学定員に空きがあるならば幼稚園から12学年の児童・生徒に対して、州内のどの学区の学校にも入学を認めるものとする」システムである。一方で、「②定時制オープン・エンロールメント」とは、「州内の全ての高校生を対象にしたプログラムで居住する学区以外にある公立高校で行われる教育課程についても同時に2コースまでの履修を認める」とする高校段階にのみに開設されたプログラムである。両プログラムの実施においてはこれら2つのプログラムの利用生徒が多数に及ぶ場合に財政面での悪影響を免れ得ない学区に対しては学区外に進学する生徒を1997-98年の開始年度については在籍生徒数の3%以内に留めること、次年度からは1%ずつ増やしていくことを認めていた。
参考文献
米国都市学区における学校選択制の発展と限界―ウィスコンシン州ミルウォーキー市学区を事例に―(2010) 成松美枝 著 ㈱溪水社
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