キハE200

出典: Jinkawiki

概要

キハE200形は東日本旅客鉄道株式会社(JR)が開発した一般型気動車である。JR東日本では、非電化区間を走るディーゼル車の環境負担低減を目指し、ディーゼルエンジンと蓄電池を組み合わせた動力システムを有するディーゼルハイブリッド車両「NE Train」の開発を進め、平成16(2004)年度までの期間に実施した試験で、鉄道車両へのハイブリッドシステムの適応が可能であることを確認し、キハE200形に反映された。 キハE200は、ハイブリッドシステムによって回生エネルギーの有効利用を図るとともに、排気ガス中の有毒物質を低減したエンジンを採用して、環境への負荷低減も図っている。また、車体幅の拡大や空調装置の能力向上などによるサービス向上、モニタ装置の導入による乗務員や検修作業の支援、機器のメンテナンス軽減等、最新の技術成果を取り入れている。


ハイブリッドシステム

(1)概要 エンジンと蓄電池で構成するハイブリッドシステムの構成として、「シリーズハイブリッドシステム」と「パラレルハイブリッドシステム」が存在する。 前者はエンジンの機械的動力を一度電気的エネルギーに変換し、そのエネルギーと蓄電池の電気的エネルギーを組み合わせてモーターを駆動する。 後者はエンジンの機械的動力を車輪に伝え、それと平行してモーターの機械的動力をコルクコンバータに伝える。 キハE200形では、前者の技術がJR東日本の技術の限界を考慮して採用されている。 キハE200形のハイブリッドシステムは、発電用のエンジン発電機、エネルギーを貯蓄するための主回路用蓄電池、制御用インバータ・コンバータ装置及び車輪駆動用主電動機から構成される。 力行(加速)時は、エンジン・発電機からの電力と、蓄電池からの電力を用いて、主電動機をインバータで駆動する。なお、エンジンの停止・起動は車両の走行状態や蓄電池の充電状態等によって自動的に行われ、乗務員の操作は必要としない。主回路用蓄電池は出力密度が高く、軽量高出力とすることが可能なリチウムイオン蓄電池を使用し、その容量は、平坦な1駅区間5km程度の走行が可能な電力量としている。

(2)動作 ハイブリッドシステムは、エンジンの動作や蓄電池の充放電を最適に制御し、また、ブレーキ時の回生電力を有効に利用することでエネルギー効率向上が図られる。車両の加減速の状態や、走行速度、蓄電池の充電状態などによってその動作は異なるが、主な車両状態は以下の通りである  ①発車時:駅での騒音低減のため、発車時は蓄電池のみのエネルギーにてスタートする。速度30km/h程度から蓄電池とエンジンを併用する。  ②力行時:発電エンジンは最高効率で稼働し、走行負荷に応じて蓄電池の放充電を行う。  ③上り坂走行時:発電エンジンは最高出力で稼働  ④下り坂走行時:回生ブレーキ蓄電池を充電するとともに、エンジン排気ブレーキによって速度制御を行う。  ⑤ブレーキ時:発電エンジン停止、回生ブレーキによって蓄電池を充電する。  ⑥停車時:発電エンジン停止、蓄電池からサービス用エネルギーを提供する。 これらのエンジン・発電機の動作、コンバータ・インバータ、モータの制御、蓄電池の充放電などの個々の動作をいかに統合して最適に動作させるかが重要となる。このため、キハE200形では「エネルギー管理制御システム」という動力制御システムを用い、各装置からの情報をそこで集約して、各装置の最適な動作を実現している。

参考文献:鉄道ファン(交友社)2007年7月(tetsuo)


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  構成