クラスター爆弾

出典: Jinkawiki

クラスター爆弾の仕組みは、1発の親爆弾の中に数百個の子爆弾が収納されていて、親爆弾が空中で爆発するとたくさんの爆弾が広い範囲にばらまかれるというものである。子爆弾は戦車や建物、硬い地面に当たると爆発するが、やわらかい畑や沼地などに落ちると不発のままになり残ってしまう。不発のままの子爆弾は、地雷のように人の手で埋められたものではないので、そのまま地面や草原に転がっていることが多く、子どもたちが鉄くずと間違えて拾い集めたり、おもちゃにして遊んだり、蹴飛ばしたりすることもあり、とても危険である。


2つの発射方法

クラスター爆弾の発射方法は2つある。爆撃機から投下する空中投下型と、地上から大砲やロケット砲によって発射する地上発射型の2つである。

空中投下型

1991年の湾岸戦争で使われたクラスター爆弾は、空中投下型のものであった。親爆弾(弾筒。キャニスター、またはディスペンサーと呼ばれる)には後部に羽根がつけられていて、爆撃機から投下されると風圧で回転しながら落ちていく。前もって設定された高度(90メートルから900メートルくらい)まで落下すると、親爆弾の後部が自動的に開き、202個の子爆弾がばらまかれる。どれくらいの範囲にばらまかれるかは、高度や風速などによって決まってくる。

地上発射型

大砲やロケット発射システムから砲弾やロケット弾を発射する方法である。ロケット弾の最大射程距離は32キロメートルとされているが、ロケット弾には誘導装置がないため、風の影響を受けやすいという弱点がある。発射された親爆弾は設定されていた時間に空中で爆発し、攻撃目標の上で子爆弾をばらまく。親爆弾を発射させる「多連装ロケット発射システム」(MLRS)は、1分間に12発の親爆弾を連続的に発射することができる。米英軍が湾岸戦争(91年)で200両近いMLRSを投入し、「鋼鉄の雨」と恐れられた。


クラスター爆弾の威力

クラスター爆弾の子爆弾は1個でも人の命を奪ったり、戦車を破壊して走行不能にさせるのに十分な破壊力を持っている。子爆弾の中には混合された高性能爆薬が入っており、これが爆発すると、鋼鉄製の筒が300個ほどの破片になって毎秒5000メートル以上の超高速で周囲に飛び散る。この破片の威力は、戦車などに使われている12.5ミリの厚さの装甲鉄板を貫通する威力があるといわれている。さらに、ジルコニュームという発火剤が入っていて、これが飛び散り、戦車や戦闘車両を炎上させ、燃料倉庫や爆薬庫、建物などに火をつける。1回の作戦で200発以上の親爆弾が投下され、1発の親爆弾から子爆弾が数個から数千個ばらまかれるので、その被害はとても広い範囲に及ぶ。

参考文献

清水俊弘 クラスター爆弾なんてもういらない。 合同出版 2008

目加田説子 行動する市民が世界を変えた 毎日新聞社 2009


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