グルントヴィ2

出典: Jinkawiki

グルントヴィは1783年9月8日にシェラン島南部に牧師の子として生まれた。彼はヘルダーやシェリングに影響を受け、それらの思想を自分たちの民族に照らし合わせて解釈するために北欧神話に没頭した。 これらをまとめて後に発表した著書『北欧神話』により、彼はロマン主義的な民族観を展開した者として絶大な支持を集めるようになった。そして、敗戦による社会混乱で疲弊していたデンマークの復興をはかるため、 民衆の言葉による生きた教育を実践し国民の精神育成をする『国民高等学校』の設立を提唱した。 また、もう一つの大きな成果としてフォルケホイスコーレを提唱したことがあげられる。


このように、グルントヴィは牧師・詩人・教育者・政治家など様々な顔を持つ北欧の偉人であり、「近代デンマーク精神の父」とも称されている。


グルントヴィ思想の影響

グルントヴィの思想は一般に「フォルケオプリスニング」という名前で知られている。これは義務教育や成人教育、地域の体育活動、図書館活動や大学の公開講座などの広い意味を含言葉であり、民衆自身が自覚して何かを勝ち取ることというような意味で解釈されている。1970年代から80年代にかけては、この思想を受けた民衆運動として原子力発電に反対する風力発電や環境保護の運動が起こり、その中でも後に風力発電は、デンマークの代表的な輸出産業といわれるまでに拡大した。このように、グルントヴィの思想はデンマークの教育と市民運動の中にも生き続けているとされている。

さらに、グルントヴィの教育思想としては、

①死んだ文字と生きた文字

②相互作用と対話

③歴史的―詩的

④試験の廃止と生の啓発

などがあげられ、彼の思想は様々な形で現代のデンマークに残されていると考えられる。


参考文献

・オヴェ・コースゴール、清水満編著『デンマークに生まれたフリースクール 「フォルケホイスコーレ」の世界』(1993年)新評論

・井村誠人編著『デンマークを知るための68章』(2009年)明石書店


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