グローブ座
出典: Jinkawiki
グローブ座
グローブ座は1599年、女王エリザベス1世の華やかな治世の終わりにロンドンのはずれに建設された。今日この劇場が特に有名なのは、英語を用いる劇作家としてもっとも広く世に知られたウイリアム・シェイクスピアの作品がここでの上演を目的に作られたものであるからだ。
●劇場主
劇場主たちは有利な立場で取引を行った。彼らには金があり役者たちには金がないのが普通だった。劇場主はたいてい利益の半分を要求した。劇場の衣装購入の費用を立て替えたり、個々の役者に金を貸したりすることもあった。劇場主は出来るだけ良い劇団に劇場を貸すことで大きな利益を得るようになった。良い劇団を自分の所にとどめるために劇場を去るときには多額の違約金を払うという誓約を人気役者に書かせることもあった。
●装飾品
舞台衣装と小道具はアパレルと呼ばれた。これが劇団の出費の大半を占めた。重要な登場人物の衣装は金を惜しまず出来る限り華麗に仕立てた。観客は背景などはどうでもよく、ぜいたくな装いを見る目を持っていたため華々した装飾品を期待した。劇場主は劇団が衣装を購入するのを援助した。役者が劇団に罰金を支払う罪の中で一番重かったのは、泥酔でも遅刻でもなく、衣装を着たまま劇場を出ることだったといわれている。
●劇場
1599年にグローブ座は完成した。古い劇場の骨組みをそのまま使用したので、今までの劇場とそれほど外観が異なったとは思えない。グローブ座にはその名前に大胆な主張が込められている。劇場へ足を運ぶという当時考えられる最も刺激的な娯楽をもたらす興奮は、今日の私たちには得がたいものである。グローブ座では毎年シェイクスピアの新作が2本上演され人々はしびれるほど興奮したに違いない。グローブ座の共同所有者としてシェイクスピアがいたので、文字通り彼の劇場であった。
●観客
ロンドンに暮らすあらゆる身分の人が演劇を楽しんだ。例外はこれを時間の無駄とみなしてその間も惜しんで労働すべきと考える頭の固い人たちであった。観客は宮廷人も商人も弁護士も職人も遊び人も、みんな同じ扉から入場した。平土間席には様々な人間が入り混じっていた。観客は自分の気に入らない芝居が行われると野次を飛ばした。希望の演目をやらないと、ベンチや瓦を投げる者や劇場を取り壊すと脅すものまでいた。
参考文献
シェイクスピア劇場 発行者 株式会社三省堂 発行所 株式会社三省堂