ケッペンの気候区分
出典: Jinkawiki
目次 |
概要
ケッペンの気候区分とは、ドイツの気候学者ケッペン(Wladimir Peter Köppen)が植物分布を基に1923年に気候を区分したものである。
主な区分の指標としては、最寒月の気温や降水量の乾燥限界、雨季・乾季の有無やその時期などから、世界を5気候帯に区分し、その上でさらに細かい気候区を設定していることが特徴として挙げられる。
気団によって気候を区分したアリソフ(ロシア)、大気の大循環によって気候を区分したフローン(ドイツ)など、気候を区分した学者は様々であるが、分類基準が明確であることなどから、人間の諸活動に有益であるとされている。
気候区分の方法
ケッペンの気候区分の基準として、植物分布がある。
・樹木気候…熱帯(A)、温帯(C)、冷帯(D) ・無樹木気候…乾燥帯(B)、寒帯(E)
この分布を基に、気温と降水量を組み合わせて12種類に気候区分を判定する。
1.気温 … 熱帯(A)…最寒月平均気温18℃以上 温帯(C)…最寒月平均気温-3℃以上、18℃未満 冷帯(D)…最寒月平均気温-3℃未満 乾燥帯(B)…最暖月平均気温10℃以上 寒帯(E)…最暖月平均気温10℃未満
2.降水量 …「f」…一年中降雨 「w」…冬季少雨(夏の最多雨月降水量が冬の最少雨月降水量の10倍以上) 「s」…夏季少雨(冬の最多雨月降水量が夏の最少雨月降水量の3倍以上)
気候区の特色と分布
1.熱帯(A)の気候区
熱帯雨林気候(Af)
特色…年中高温多雨。短時間に強く降るスコール。赤道低圧帯にあるため一般に風は弱い。多くの常緑広葉樹からなる雨林が発達。酸化鉄や酸化アルミニウムに富むラトソル(赤色土)が分布。
分布…赤道周辺,アマゾン盆地,インドネシア等
熱帯モンスーン気候(Am)
特色…雨季と弱い乾季がある。夏のモンスーンが多量の雨をもたらす。乾季に落葉する広葉樹林を形成。ラトソルが分布。
分布…アマゾン川河口,ミャンマー南部,インド南西部等
サバナ気候(Aw)
特色…雨季と乾季の差が明瞭。丈の高い草原と疎林のみられる熱帯草原(サバナ)が広がる。
分布…デカン高原,インドシナ半島,オーストラリア北部等
2.乾燥帯(B)の気候区
砂漠気候(BW)
特色…蒸発量が降水量を上回り乾燥。アルカリ性の強い砂漠土が分布。
分布…サハラ,タクラマカンなどの砂漠,アラビア半島,オーストラリア内陸部等
ステップ気候(BS)
特色…春先や夏に短い雨季。短い草や低木のみられる草原(ステップ),チェルノーゼム(黒色土)が分布。
分布…砂漠の周辺,グレートプレーンズ,ウクライナ等
3.温帯(C)の気候区
地中海性気候(Cs)
特色…冬は偏西風や温帯低気圧の影響で降雨に恵まれるが,夏は中緯度高圧帯におおわれ乾燥する。地中海沿岸にはテラロッサが分布。
分布…地中海沿岸地域,カリフォルニア,オーストラリア南部等
西岸海洋性気候(Cfb)
特色…偏西風と暖流の影響で緯度の割に年中温和。ブナ・ナラなどの落葉広葉樹のほか針葉樹もみられる。
分布…西ヨーロッパ,ニュージーランド,チリ南部
温暖冬季少雨気候(Cw)
特色…夏高温。モンスーンの影響で夏に雨が多く冬は乾燥。常緑広葉が分布。
分布…サバナ気候周辺,中国,インドシナ半島北部等
温暖湿潤気候(Cfa)
特色…夏は高温多湿。年中降雨がみられるが夏に多い。四季明瞭。常緑広葉樹や落葉広葉樹と針葉樹の混合林がみられる。
分布…アメリカ中東部,日本の大部分,オーストラリア東部等
4.冷帯(D)の気候区
冷帯湿潤気候(Df)
特色…夏は短いが気温は比較的高く温暖。南部に広葉樹と針葉樹の混合林,北部は針葉樹林帯(タイガ)。褐色森林土やポドゾルが分布。
分布…カナダ,カムチャッカ半島,北海道
冷帯冬季少雨気候(Dw)
特色…冬の寒さが厳しく,晴天が多く乾燥。針葉樹が広がり,ポドゾルが分布。
分布…シベリア東部,中国東北地方,朝鮮半島北部等
5.寒帯(E)の気候区
ツンドラ気候(ET)
特色…夏に凍土の表面が溶け,苔類が育つ。地下は厚い永久凍土。
分布…北アメリカ北部,ユーラシア大陸の北部,グリーンランド沿岸地域等
氷雪気候(EF)
特色…年中氷雪。大陸氷河が発達していて,非居住地域。
分布…南極大陸,グリーンランド内陸部等
参考文献
最新地理図表 ジオGEO 第一学習社
地図投影法・ケッペンの気候区分・主要牧農業地域 http://www7.ocn.ne.jp/~w246/kyouzai001.htm
D.N