コンプリヘンシブ・スクール
出典: Jinkawiki
1960年代から1970年代にかけて設立された11歳で小学校を卒業した際に進学するイギリスの総合制中等学校の総称。イギリスでは中等教育課程にあたる学生全体の約8割が通っている。入学試験はなく、11歳で小学校を卒業する際に決められたところへ進学することになっている。それ以前はグラマー・スクール、テクニカル・スクール、セカンダリー・モダン・スクールの3種類に分かれており、学生が自主的に選べるのではなく、「イレブン・プラス」と呼ばれる11歳試験によって決められていた。しかし、たった11歳で将来が決まってしまうのはあまりにも理不尽で差別的であるという意見が多く挙がってくるようになってきたために、この3種類の学校を1つにまとめたコンプリヘンシブ・スクールがイギリス各地で設立されるようになった。現在ではイギリスのほとんどの地域がコンプリヘンシブ・スクールだが、一部ではグラマースクールが残っている地域も存在する。 これによって教育の単一化が進むようになったが、現実には問題点が多く指摘されている。1つは試験で優秀な成績を収めた学生のみが進学できるグラマー・スクール廃止のせいで、能力のある労働者階級の子供が高等教育を受けるチャンスが著しく下がってしまった。そして、差別化を無くし、成績の良い学生、悪い学生が一緒の学校にいることによる「学力の低下」や「校内暴力」などの問題も露呈している。一般的に、勉強する学生よりも勉強に関心を示さずに夜遊びや悪さに明け暮れる学生の方が周囲に影響を与えやすいため、グラマー・スクールに入れる程の成績を持つ生徒も悪い方へと流されてしまい、コンプリヘンシブ・スクールの質が下がったとも言われている。
参考資料
http://www.tongarashi.com/~michie/anglo/back31.html