コンプレックス2

出典: Jinkawiki

コンプレックスとは、スイスの精神科医学者ブロイラーによって提起され、その後フロイトやユングによって大成した概念である。この「コンプレックス」という言葉もユングによって命名されたものである。ユングはコンプレックスとは何らかの感情と結びついており無意識の中の心的内容の集りで、人間の態度や行動、感情などに強い影響力を持つと説いた。これは、「観念複合体」であるということである。また、コンプレックスはその人の心の中に心的外傷、すなわちトラウマを負っている場合に多く見られ憎悪や嫉妬、嫌悪、恐怖、劣等感そして罪悪感という多くの感情を伴う。人間は誰しもコンプレックスを持っている。例えば、スタイルが良くなりたい、かっこ良くなりたい、誰かのようになりたい、金持ちになりたい、出世したいなどという欲求は、何らかのコンプレックスによって生じていると考えることができる。そして、本人が押しつぶされることのない程度のコンプレックスは、何かを成し遂げるバネとなりうることもある。しかし、過剰で自らが押しつぶされてしまうようなコンプレックスは自らを圧迫したり、成長の妨げになったりすることもある。場合によっては、神経症の原因になったりもする。

コンプレックスを感じた時の行動

①会話の最中に出てきた、ある特定のキーワードに対する反応時間が長くなる。

②相手の言葉をオウム返しにしたり、見当違いの返事をしたりする。

③話を茶化したり、苦笑したり、話題を変えようとする。

④気づかないふりやソワソワと体を動かしたりする。

コンプレックスの種類

①エディプス・コンプレックス フロイトが提唱した、人間の無意識の中に存在しているとされる同性の親に対するコンプレックスである。男の子が母親の愛情を独占したいと願い、さらには父親にいなくなって欲しい、死んで欲しいという抑圧された願望を指す。これはギリシャ伝説の一つで、父親を殺して、母親と結婚したエディプス王にちなんで命名された。このコンプレックスは、成長とともに本来の異性愛に目覚め、社会的な礼儀や考え方を身につけていくことによって解消される。しかし、うまく解消できなかった子どもの中には、成長してから家庭暴力や登校拒否を起こすなど問題行動に結びつくケースがある。またこのエディプス期に固着した人は、男性は母親に似た人を、女性は父親に似た人を、恋愛の対象として求めるようになる。

②マザー・コンプレックス 成人した男性が母親との間に年齢にそぐわない依存関係を持ち続け、そのことに疑問や葛藤を感じていない状態を指す。一般にマザコンと呼ばれ、世の女性いわく、「最も結婚しないタイプ」の筆頭にあげられるコンプレックスである。このような男性は、幼児期から母親の過剰な愛を受けたり、細かすぎる干渉を受けて育ってしまったため、青年期に達成されるべきアイデンティティの形成が十分にされず、大人になってしまったものだと考えられる。

③シンデレラ・コンプレックス 青年期の女性が、シンデレラ物語のヒロインのように、いつかは自分にも素敵な王子様が迎えに来てくれる、このつらい境遇から救い出してくれる、とひたすら待ち望む無意識の依存欲求を指す。こうした状況に陥る原因としては、夫婦関係に不満を持ちつつ、娘を理想的な女性に育てようとする父との関係にあるのだと言われている。

④ロリータ・コンプレックス 男性が、自分よりもはるかに年下の女性に抱く抑圧された性愛を指す。ロシア人形家、ウラジミール・ナボコフの小説「ロリータ」にちなんで名付けられ、一般にロリコンと呼ばれている。若者のロリコンは自分が大人になることを拒否したり成人女性に対する気後れや恐れが原因であると考えられている。中高年の場合は、自分が失っていく若さを、性的対象である幼い少女たちから分けてもらいたいという無意識の願望に根ざしているのだろうと考えられている。

⑤カイン・コンプレックス 兄弟間に生まれる強い葛藤や相克関係のことを指す。これは、幼いころに親の愛情や関心が他の兄弟に奪われるかもしれないという不安を抱き、嫉妬心や敵意を抱き競争心を燃やしたりすることが原因とされている。 大相撲の若貴兄弟や柔道の中村三兄弟など、同じ世界でトップを目指すアスリートの兄弟たちの間にも、少なからずこのコンプレックスがバネとなっているのではないかと言われている。

⑥白雪姫・コンプレックス 母親が育児のストレスなどから、悪いことと知りながら、子どもに手をあげるなどの幼児虐待に走ってしまい、その後深く後悔する、後悔しつつもまた同じことを繰り返す。この抑えられない矛盾した感情を、白雪姫と継母の関係になぞらえてこう呼ぶ。


kiba


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