コーラン2

出典: Jinkawiki

コーラン(正しい発音はクルアーン)  

目次

概要

クルアーンとはアラビア語で「読み唱えるもの」という意味を示しており、それから転じて「日々の礼拝の時に声高に唱えるもの」という意味をも含んでいる。  さらに、イスラム今日の開祖マホメットが聞いた啓示(神の言葉)という意味をも有しており、その啓示を集めて一つにまとめた経典をコーラン(クルアーン)と呼んでいる。  また、文学においても素晴らしい作品とされ、アラビア語を習う際のテキストとしても利用されている。    

歴史

 西暦紀元前7世紀中葉、 現在のサウジアラビアにあるイスラム教の聖地・メッカに住んでいた、貿易商のムハンマドが瞑想していると、神の言葉を聞き。神の言葉を預かり、皆に伝える預言者としての役割を承る。   その後、断続的に啓示を受け、それらは口伝やラクダの骨に書留られるなどして受け継がれていく。   西暦650年頃、三代目のカリフ(*)ウスマーンの時代に経典としてまとめあげられている。   *カリフ・・・ムハンマドの後継者、宗教の教義や法を変更する権限はないが、政治的・社会的権限を受け継ぎ、イスラム共同体を支配することができる。


 

特徴

 コーランが他の経典である聖書などと大きく異なる点は、編集や解釈が加えられることなく、受けた言葉をそのまま記載し、順序に関係なく、比較的内容が長いものから短いものの順番で並べてあり、いつ、どのようにして下ったのかが詳しく描かれているものはなく、ただ淡々と啓示の言葉が述べられている。その背景には「神の言葉は神聖なものであり、人間の手が加えられてはならない」という考えに起因しており、現在もそれが守られている。(学問の範疇においての解釈は行われているが、経典自体には加えられない) 今では、研究によりある程度に啓示の順序が分かるようになった。


内容

初期・中期・後期とムハンマドの転機により区切ることができる。  その時期によって、啓示の性格が異なり、神の違う性格を知ることができる。 初期・・・ムハンマド啓示を受け、故郷メッカで布教活動を開始する。だが、彼の主張である「唯一の神は人間の作った偶像によって礼拝されるべきではない」という言葉が、当時、様々な部族や民族の神の像を祭っていたカーバ神殿への巡礼者に対して商売を行っていた商人たちの反感を買い、その後の十年間、少数の信者達と妨害や非難を受けながらも活動した苦難の時期の啓示。主に「世界には必ず終りが訪れ、その時に人間は生前の行いに対して、審判を受けなければならない」という裁きの神、正義の神といった側面を強調している。

中期・・・メッカ時代の終わり、メディナ時代にかけての経過。転換の時期。  補足として、このメッカからメディナへと移住した出来事はヒジュラ聖遷と呼ばれ、イスラム暦の紀元元年とされた。 (*イスラム暦…ヒジュラが行われた西暦622年7月16日を元年とする太陰歴。一年を354日、1ヶ月を29・30日とし、1年は12ヶ月で閏年を置かない)  *太陰暦…月の満ち欠けの周期を基準に暦を決めたもの

後期・・・メッカでの布教を断念したムハンマドが活路を求めて、メディナという町に移住し、その後、世を去るまでの十年間の内容。イスラムの宗教や政治共同体の基礎を築いた安定した時期。「神を信仰し、善行をなす人間は来世において天国の素晴らしい報いを受ける」といった、慈愛の神、恵みの神として側面を感じさせる。


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