ゴキブリ

出典: Jinkawiki

目次

ゴキブリの概要

 ゴキブリとはゴキブリ目に属する雑食性の昆虫である。その種類は1万種とされ、人間の生活圏に生息する種は100種もいない。日本の家庭や都市などで一般的に見られる種はクロゴキブリとチャバネゴキブリの2種である。繁殖方法は卵生で、多くの種が触角の先にある器官でフェロモンを感知して繁殖活動を行う。ゴキブリのオスは精包と呼ばれる精子を蓄えておける袋を作り、交尾の際にメスへそれを受け渡す。メスは1度の交尾で精包を受け取れば一生を終えるまで、その中から精子を使って繁殖することができる。また単為生殖を行うこともでき、生まれる個体はすべてメスになる。

ゴキブリの食性

 ゴキブリは不快害虫とされており、実害を及ぼす種ではないが雑食性の食性から時に人を食べることもある。人の皮膚をかじる、口の周りの水分を吸うなどが確認されている。いずれも人を食べる以外の手段がない場合にとられることが多く、基本的に生存のためにどのようなものでも取り入れる。たとえば紙類やそれに貼りついた糊等もゴキブリの餌になることが分かっている。雑食性の昆虫であるが、甘いものを好む傾向があり、1954年にはラウがトウヨウゴキブリの好物について調査を行い、一番は砂糖のついたシナモンパン、次に普通の白パン、ゆでたジャガイモ、スライスしたバナナと続く結果が判明した。

ゴキブリと健康被害

 ゴキブリからはこれまでにおよそ40種の病原体が見つかっているとされる。1993年にアメリカ政府は8つの都市のスラム地区に住む10歳以下のぜんそく患者1528人を対象に調査を行った結果、その原因となる最も可能性の高い環境アレルゲンがゴキブリであることが判明した。ゴキブリの死がいや脱皮した殻、または糞などのゴキブリの身体の一部が埃に混じり、その埃を吸引することでアレルギー反応を起こす仕組みである。ゴキブリには病気の感染を広めるリスクがあり、小児麻痺の患者のいる家庭に住み着いていたチャバネゴキブリからポリオウィルスが検出される他、実験室でポリオウィルスに感染したラットの脳を乳濁液にしてワモンゴキブリに与えると糞からウィルスが見つかる等の事例がある。ゴキブリ自身が生来持っている病原体が人体に影響を及ぼすとは限らないが、ゴキブリは菌を媒介する要因になる。食中毒や寄生虫の感染が発生した場合、それらを広範囲に広げてしまう恐れがあるのである。

参考文献

ゴキブリたちの優雅でひそやかな生活 2002年 リチャード・シュヴァイド著、西田美緒子訳

わっ、ゴキブリだ! 2005年 盛口 満

ゴキブリのはなし 1991年 安富 和男


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