ゴッホ
出典: Jinkawiki
フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)1853年3月30日 - 1890年7月29日)はオランダに生まれ、主にフランスで活動した画家である。
オランダの小さな村に牧師の長男として生まれた。最初は画商を志し、次に牧師としての伝道を試みたがいずれもうまくゆかず、1880年以降は画に専念した。ブリュッセル、ハーグ、アントウェルペンで学んだのち1886年にパリにでた。同地で画商をしていた弟テオを通じて、ロートレック、ベルナール、ピサロ、シニャックらと知り合い、それまでの暗い画風から明るい印象派の画風へと変わっていく。1888年、南仏アルルに移って、明るい日差しと豊かな色彩に満ちた自然の下で自己の様式を確立していく。芸術家の共同体を夢見て、ゴーガンをアルルへ招いたが同年10月から12月にかけて二人の共同生活は、ゴッホの精神病の発作によって終止符が打たれる。以後、激しい発作およびその恐怖に脅かされながらも1890年に自らの命を絶つまで、激しいタッチと強烈な色彩を用いて多くの作品を制作した。最晩年の一年間、サン=レミ、オーヴェ-ル時代だけでも200点以上の油彩画が描かれている。彼の作品は生前ほとんど無視されてきたが、20世紀に入ってからは高く評価され、フォーヴや表現主義をはじめ、現代絵画の発展に非常に重要な影響を及ぼした。
ゴッホの作品は、初期の段階を除けば、印象派を出発点としている。また、日本の浮世絵の特徴である明快な色使い、影の無い世界にも大きな影響を受けた。即ち、戸外での制作、明るい画面等々といった特色である。しかしながら、印象派の画家達の筆触が視覚混合を狙う為比較的細かなものであるのに対し、ゴッホは、始めのうちは新印象派の点描技法を試みているが、時代が下ると共に筆触は長く伸び、うねり、表現主義的である。また印象派の視覚分割に於ける色彩の選択が科学的な知識を基本とするのに対し、ゴッホのそれは主観的・また時に象徴主義的である。強い輪郭線、色面による構成、人物の戯画的なデフォルメ等も、印象派とは異質のものである。 また、印象派は自然主義を基本とするが、ゴッホの絵画は単なる現象の写しを離れ、しばしば象徴主義的である。この傾向は特に後期に著しい。印象派が太陽の照らす戸外を描くのに対し、彼は夜をも描く。また、憂鬱な人間と社会、更には神的な世界をも描いたが、この態度は印象派と決定的に異なる。
代表作
ジャガイモを食べる人々(1885年)ゴッホ美術館
日本趣味・花魁(渓斉英泉による) (1887) ゴッホ美術館
タンギー爺さん(1887)ロダン美術館
ひまわり(1888)ノイエ・ピナコテーク
星月夜(1889)ニューヨーク近代美術館
ばら(1889)国立西洋美術館
糸杉と星の見える道(1890) クレラー・ミュラー美術館
参考:国立西洋美術館名作選