サドベリバレイ校5

出典: Jinkawiki

日本の教員とサドベリバレイの教員の比較

まず、日本の学校の教員とサドベリー・バレー校の教員を比較してみる。日本で正規の教員になるには、それなりの教育を受けて教員免許を取得する必要がある。それに対してサドベリー・バレー校の教員は17人中教員免許を持つ者はわずか3人である。その背景にあるのは、アメリカでは地域ごとに教育制度や学校制度が異なったり、ホームスクーリングが合法であったりと、教育に対して日本よりも自由な面があると考えられる。 サドベリー・バレー校には、子供達の学びたいという気持ちを育てるスタッフの存在がある。例えば、子供が何かを学びたいと思った際には、先生に授業を直接依頼し、承諾を得ることで初めて授業を受けることができる。これは、子供達に「積極的に学ぶ意思」を持たせることと、本来自己の中から湧き上がる欲求である「学びたいという意思」を大切にすることの両方の効果があると考える。


日本のサドベリバレイ式学校での問題

日本には現在6校のサドベリースクールがある。こうしたフリースクールと呼ばれる学校は、生徒の多様性にこたえることができる魅力的な教育現場であるが、国から認可されていない故に、設立に際して、学校側に大きな負担が強いられている。そこでこの新しいタイプの学校を運営する際に浮上する問題を二つ提示したい。

一つ目は運営資金である。フリースクールは学校として認可されていないため、私学助成がない。そうなると、学校は授業料と、教育方針に理解を示してくれた支援者からの会費で運営しなければならない。敷地、校舎、図書や教具など、予め充足しなければならない条件から考えても厳しい状況である。また予算がなければ、いつ学校が潰れてしまうかもわからない。学校の安定性という意味でも、生徒は不安を抱えなければならないのだ。

二つ目は、公教育との整合性という課題である。フリースクールに通う子どもたちの籍は地域の公立小中学校にあることになる。このため、子どもたちの出席日数はゼロなのだ。つまり、フリースクールを卒業・修了しても、進学や就職、資格取得に必要な学校の卒業資格は得られないのが現状である。

以上のような問題を解決するために、簡単ではないと思うが、フリースクールを法制化することを提案したい。このような新しいタイプの学校が正式に認められることで、子供たちの人生により多くの選択肢をもたらすこととなると思う。勉強が好きな子供も嫌いな子供も、公立の学校のやり方に合わない子供も、本当の意味で平等に学習することができる環境が形成されると考える。


『世界一素敵な学校―サドベリー・バレー物語』 ダニエル グリーンバーグ

『自由な学びとは~サドベリーの教育哲学~』 ダニエル グリーンバーグ


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