シュタイナー教育8
出典: Jinkawiki
シュタイナー教育の誕生
ルドルフ・シュタイナーによって1919年ドイツにヴァルドルフ学校が誕生したのが始まり。当時は世界的に自由教育運動が高まりを見せ、他にも子供の感性を大事にするモンテッソーリ教育や、日本では奈良女子高等師範学校や千葉師範学校、成城学園や玉川学園で子供の自主性を尊重する教育運動が行われていた。シュタイナーも生まれた時代が市民革命後で、国民が文化・宗教・人種・言語によって共通性を持ち、それぞれ対立していて、産業化により階級格差も深刻化しているという時代であった。彼の生まれた家庭も熱心なカトリック教徒であったが、彼はのちにゲーテの代表作『ファウスト』の上映に感銘を受け、ゲーテが文学・宗教・政治・科学・哲学・美術・音楽など様々な分野に興味を示した教養人であったように、シュタイナーも特定の領域を超えて、人間の感受性を尊重した生き方を目指すようになる。シュタイナー教育の独自性はフォルメンやオイリュトミーなど様々な面で見られる。 現在、日本には神奈川や京都、北海道などにシュタイナー学校が存在しており、以下は日本のシュタイナー学校の要素を多く記述している。
シュタイナー教育の特色
・シュタイナー教育=自由への教育
一貫したカリキュラムはあるが、子供たちに特定の思想や価値観を教え込むようなことはしないようにする。そして、子供たちに体験の多い授業を通して、自分で考え、自分の感受性を活かしながら行動へ結びつけられるような教育を心掛ける。また、人間は7年周期で生まれる計4つの構成体によって形成されるとする。 1. 物質体(0歳~) 2. 生命体(7歳~):成長や繁栄をつかさどる力。このころ芸術的な刺激を与えることによって将来の豊かな感受性につながる。 3. 感情体(14歳~):快・不快の感情に結びついた動き。意志、感情、思考を順番に身につけ、それぞれのバランスが取れた人間をシュタイナーは「自由を獲得した人間」とする。 4. 自我(21歳~)
・8年間の通年教育(日本では初等・中等・高等教育に分かれた12年間の一貫教育を採用)
シュタイナー教育では入学してから8年間同じ担任が受け持つ。そのため、1人の教師が児童期から思春期への子供たちの心身の変化を長期的に見ることで、その時どきで必要な教育を教師が判断して提供することができる。子供たちは1人の担任を慕い、信頼関係を気付くことが、8年間の教育を終えて新しい関係に移行することで一種の親離れのように子供たちは大きく成長を遂げると考えられる。
・芸術としての授業
全ての授業において芸術的な要素が含まれる。音楽や色彩、動きによって子供たちの本来持っている芸術の感性を活かしつつ、芸術への衝動・集中は学びに対しても深い知識となって蓄積されるという考え方を持つ。計算や漢字の反復練習も行うが、教科書も教師の授業準備によって子供たちと作り出していくものが多く、子供たちは頭、心、手を重視する。 特に独自性を持つのが言語と音楽が融合し身体を使って表現する「オイリュトミー」や、低学年のうちに行われる「フォルメン」であり、これらは子供たちの神経を集中させる効果もあるとされる。手や体全体を使って芸術を表現することは子供たちの自由な感性を尊重することになり、子供たち自身が責任感をもち、他者を尊重する感情を持つようにする。
・エポック教育
同一の教科を午前2時間の授業を使って一定期間学び続ける。じっくりと1つの教科に取り組むので子供たちの理解が深まり、ここでも芸術的な活動を利用することで強く記憶に残していく。手をつけていない教科は忘れてしまうこともあるが、また教育し直した時に新しい知識と共に上乗せされて記憶に蓄積されることになる。ただし、シュタイナー教育では子供たちの学力をテストなどによって点数評価することはない。そのため、子供たちの様子を知るために定期的な子供たちの生活記録が各家庭に送られるようになっている。
・様々な体験授業
子供たちは低学年のうちから歌い、劇や文章を通して外国語の学習、米づくり、家づくり、工作などを体験することによって生きる術を学んでいくことになる。
(投稿者HNF)
参考資料
安彦忠彦・児島邦宏・藤井千春・田中博之編著『よくわかる教育学原論』(2013)
ルドルフ・シュタイナー [http://www3.ocn.ne.jp/~zip2000/rudolf-steiner.htm
]学校法人シュタイナー学園 [http://www.steiner.ed.jp/edu/question/
]ゲーテ ファウスト [http://homepage3.nifty.com/mahdes/faust.htm
]シュタイナー教育の理念 [ http://touch.allabout.co.jp/gm/gc/184257/2/
]