シュタイナー教育6(カリキュラム)

出典: Jinkawiki

「もし教育が、現実にとらわれすぎた時間割や制約のもとで行われるならば、教師の教育芸術は不可能なものになってしまいます」ルドルフシュタイナー 1919.9.2『教師の為の実践講座』より

上の言葉に代表されるようにシュタイナーの目指す教育は現実にとらわれないカリキュラムで構成されている。 以下にその一部(特にシュタイナー教育特殊なもの)を挙げる。

フォルメン線描

フォルメン線描は第一学年から第五学年にかけて「純粋線」の練習としてカラークレヨンが使われる。外界の事物を素描ことは勧められない。一般にブロッククレヨンを使う目的は、鉛筆で描いたような細い線を描かないようにするためである。メインレッスンや演習で使う本に出てくる物語や詩につけられた挿絵は、先に線で形を描いて後から中に色を塗ったものではなく、画家が刷毛を使うようにクレヨンを使うという点では、素描より水彩画に近いと言える。クレヨンの角や縁は、かたちとかたちの境目を示すための、細い線を描くのに利用される。最初の数年のうちの大部分は、単純な対象とリズミカルなかたちを描くことを繰り返し練習し、子どもたちの成長につれて変容と倒置の原理の練習が増やされる。その結果として“パターン化した形”が考え得る限りの変化を生みだす。

オイリュトミー

オイリュトミーは純粋に精神(霊)的内容を持ち、ルドルフシュタイナー自身によって発案され、発達してきた『動き(動作)』の芸術である。これは独自の芸術形態として理解され発達してきたものである。普通は『教育学的』オイリュトミーとして説明されるが、さらに発達した形態を持ち、特に治療的効果を発揮する『治療的』オイリュトミーもある。シュタイナーは、ヴァルドルフ学校カリキュラムにおけるオイリュトミーを、『魂の宿った体操』として特徴づけた。シュタイナーは体操や実技を「本能的なもの」とみなし、オイリュトミーの実技についても同様に考えた。基本的にオイリュトミーにはふたつの種類がある。第一に「スピーチ・オイリュトミー」ここでは、様々な母音や子音の音色に従って肉体を動かす。第二に「トーン・オイリュトミー」がある。ここでは、音楽に合わせて肉体を動かす。その『舞踏法』の考案には一定の原理があり、その場その場の思いつきで行われているのではない。ヴァルドルフ学校でのオイリュトミーの授業の背後にある原理は、簡単に説明できるものではなく、それ自身に対する研究が必要である。さらにヴァルドルフ教育カリキュラムにおいて、オイリュトミーがとても重要で特殊な位置を占め、第一学年から第十二学年のすべての子どもたちにとって必須科目であり、これは幼稚園児についても同じことが言える。

ボートマー体操

最初のヴァルドルフ学校の体操教師だったフリッツフォンボートマー伯爵は、ルドルフシュタイナーから、より高次な空間体験をさせ意志の力を高めることを目的とした、新しい体操の構想づくりを委ねられた。体操とは筋肉と血液循環のつながりを表わし、あらゆる運動において、筋肉に血液が流れ込むことを考慮に入れることが理想的である。したがって最初の第三学年または第四学年での体操の授業では、リズミカルで遊びのようなゲームや校庭での競技試合といったものから、棒登りや跳躍などのような自由な活動が、クラス担任や体操教師と一緒に行われるのが普通。第五学年になると子どもたちは、体操専門の教師にその指導を受けることになる。すべての運動は専門教師の監督のもとで行われ、一人ひとりの子どもたちの能力の範囲内で体操器具が使用される。第六学年になって、初めてこどもたちは引力や骨格の仕組みを、より意識的な形で経験し始める。つまり子どもたちは精神力や判断力を要する運動に、意志力を持ってよし意識的に取り組むようになり、平衡感覚を育成し空間において肉体の占める位置関係を知覚するようになる。さらに社会性を持たせる為に、男子生徒と女子生徒は一緒に体操の授業を受けるのが普通である。そして教師は場合に応じて、様々な体操方法を試みる。ここで強調されることは、精神競争やアクロバットのような技術獲得の育成などではなく、生徒一人一人の必要や能力を適切なゴールへと導いてあげることである。水泳は設備が整っている場合に教えられる。

≪参考文献≫ ・『シュタイナー教育 その理論と実践』 ギルバート・チャイルズ 1997.7.15 イザラ書房 


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