スウェーデンの就学前保育2
出典: Jinkawiki
2、就学前学校とは ~就学前学校の環境~
1)人的環境 日本でいう保育園のことであり、クラス編成は「どのような保育を目指すかで、クラスの年齢構成や人数を決めるべきである」という考えのもと1歳から3歳未満のクラス(15人前後)と、3歳から6歳未満のクラス(20人前後)が一般的だが、1歳から6歳未満のクラスもある。 保育者の配置は、各クラスに一般的に3人配置されているが、3人のうち1人以上は就学前学校教員の資格(大学教育3年半)を取得している保育者でなければならない。そのほかは、高校の保育コース(3年)で教育を受けた補助教員で構成されている。さらに、3人のうち1人か2人の保育者は継続して同じ子供を担当するのが一般的である。
2)物的環境
保育環境は、各クラスが3つ前後の部屋を使っており、着替えができる広めの部屋、システムキッチン・テーブル・イスが並んだダイニングルームのような部屋、造形活動専用のアトリエ・水遊びの部屋など、広々としたスペースと豊かな室内環境がある。さらに、自然そのままの広い園庭・公園・森など、恵まれた環境に囲まれている就学前学校が多い。
3)就学前学校カリキュラム
・民主的な価値観の基礎を培う
カリキュラムの1章は「基本的な価値観」の節から始まり、就学前学校事業は、民主的な価値観に基づいて運営しなければならない。また、重要な任務は、子供たちが民主的価値観の基礎を身につけるよう援助することであることを明記している。 民主的価値観の基礎とは、人間の生命の不可侵性・個人の自由と尊厳・だれもが平等であること・男女の平等・弱者や傷つきやすいものとの連帯などである。並びに、他者との思いやりや公平で平等な態度を身につけること・自分と他者の権利を理解し、尊重することなども含んで いる。
・他者への理解と思いやりの心を育てる。
民主的な価値観の中でも「平等」の実現は、スウェーデンが重要視している課題である。男女の違いや、国籍・民族・宗教・障害の有無などによって差別されることのない社会づくりを目指すには、早い時期から相互理解と思いやりの心をはぐくみ、連帯感と寛容さの芽を培って おくことが大切であるとしている。
・多様性を大切にする
子供が一面的な見方や考え方の影響を強く受けることのないように、子供にかかわる大人は、子供の異なるニーズや条件を客観的に踏まえ、子供が自分の条件に沿っていろいろな選択ができるよう、可能性を与えなければならないとしている。 また、男女に対する大人の要求や期待・対応の仕方の違いは、子供の意識に影響を与えると強調し、男女の平等に対する取り組みを継承・発展させていくことが求められている。