スウェーデンの難民保護
出典: Jinkawiki
スウェーデンは、迫害から逃れ庇護を求める難民及び重大な人権侵害等により国際的保護を必要とする者に対し、ノン・ルフールマン原則(難民を、迫害が予想される地域に追いやってはならないという国際法上の原則)からの保護を遵守して、避難所を与える国である。庇護国であり第三国定住国である。
実際にスウェーデンは、高い福祉水準と人道政策を掲げていて、庇護国のなかでも難民の受け入れに寛容である。難民支援国として1950年以来多くの難民に庇護を付与し、永住権を付与することで再定住を許可してきた。具体的には1987~2003年までの庇護申請者数は417,780人、難民等の受入総数は247,996人(条約難民20,378人、国際的な保護を必要とする者の総数46,759人、人道上の理由による居住許可者150,398人)である。またその他、UNHCRの第三国定住プログラムに基づいて毎年1,000人~1,700人程度の定期的受け入れや難民の家族統合のための受け入れがある。
スウェーデンの現在の難民・移民の受入政策は、1998年の統合庁設置に見られるように、移民のスウェーデン社会への同化政策ではなく、移民からの視点とスウェーデン人の視点の双方を受け入れ、多様性を重視したスウェーデン社会への統合政策である。これは、難民・移民が自ら望むならば個々の民族性やアイデンティティを保ちながらスウェーデン社会の一員となれるような政策を実施することである。 しかし実際は、国内の失業率の上昇、移民への社会的差別の増加、犯罪増加などが指摘されている。異なる文化と価値観の板挟みに苦しむ難民も多く、そんな中、激しい環境の違いから生まれる無関心症は、難民の子供たちの間で増えつつあり、スウェーデンの新たな社会問題となるとも言われている。