スカーフ事件

出典: Jinkawiki

 1905年の政教分離以前から、教育の非宗教性(1886年)、教師の非宗教性(1886年)が教育現場の原則として遵守されていました。

 1989年10月、公立学校に通う3人の女子中学生がスカーフを着用して登校し、学校からの再度の勧告にも関わらずスカーフ着用を通したため退学処分となりました。これが「スカーフ事件」と呼ばれる事件です。中学校は、校内でのスカーフ着用は政教分離の原則、公教育の非宗教性に反すると考えて3人を退学にしたと発表しています。  ジョスパン教育相(当時)は社会的な反響の大きさを汲んで、国務院に意見を求めました。国務院には内閣諮問機関の役割があるからです。

 同年11月、国務院は基本的人権を尊重する立場から、思想、宗教、政治的な活動を「原則として禁じる」ことはできないとしました。非宗教の原則とスカーフ着用は相反しないけれど、同時に、あまりに露骨で扇動的な着用や、宣教になるような着用は、他の生徒の信教の自由を侵害するおそれがあるので許されないとの見解を示しました。つまり、公立学校における個人レベルでの信教の自由とその発現が認められたことになります。(宗教系のサークル活動などは禁止されています)  ただし、宗教性を見せつけることで校内の秩序を乱したり、授業を妨げたりしない範囲でのみ容認された点に注目すべきでしょう。国務院のこの答申内容は教育相から全学校に通達され、これが学校におけるスカーフ問題の基本的解釈です。

 スカーフ着用自体は容認されたものの、自身の属する宗教を理由に一部の授業を放棄したり、教師の指導に従わない生徒・学生と学校側の衝突はその後もずっと続くことになります。具体的には、体育や理科の実験の時もスカーフを外したくない生徒が授業放棄して進級できなかったり、教師が授業を受けさせなかったり、といった事例があります。


参考サイトhttp://www.geocities.jp/france_katasumi/MAG2/030801.html


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