スカーフ事件7

出典: Jinkawiki

 概要  1989年にパリ郊外の公立学校に通うムスリムの女子生徒がイスラームのスカーフをかぶって授業を受けることが非宗教性に反するとして問題になった事件。その問題は国会にまで発展し、2004年に宗教的標章の着用を禁止する法律が可決された。これは、イスラームという存在を、非宗教的な共和国がその理念に反するということで強制的に排除した事件であった。

社会統合の難しさ  2001年に起こった9.11テロ以降には、イスラームへの脅威がフランスでも高まり、スカーフをかぶって授業を受ける少女たちをメディアにさらすことで、恐怖の対象とした。これに対して、放校という方法をとらせるわけではなく、夫や兄弟からスカーフ着用を強制されているムスリム女性を学校では開放すべきだという人権擁護の視点や、イスラーム原理主義者の影響から子供たちを守らなければならないという理由から、法による規制をすればいいという判断が下された。法規制を反対する立場から、「スカーフ少女たちは教育を受ける権利がある」、「彼女たちこそ教育によって近代化されなければならない」という意見や、「国が法によって規制すべき問題ではない」といった意見が出されたが、結局「これ見よがし」をやめようということで、「スカーフ禁止法」が制定された。この法は、公立の小学校、中学校、高校に、瞬く間に適用された。宗教の社会統合の難しさが浮き彫りとなった事件だった。

参考文献 フランスの共和主義とイスラームの軋轢から「市民教育」について考える 鈴木規子 政治社会学

ハンドル名 キンシャサ


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