ソーシャル・サポート

出典: Jinkawiki

概要

ソーシャル・サポートとは何かについてはいまだ明確な定義はなされていない。最近の多くのソーシャル・サポート研究はそれを操作的概念として使用せず対人関係と人の心身の健康との関連についてのさまざまな研究をソーシャル・サポート研究と総称しようという立場にたつ。ソーシャル・サポート研究には大きく三つのアプローチを考えることができる。一つは,社会的ネットワークの特質と人々の心身の健康との関連を探ろうとするものである。二つめは,認知されたサポートと心身の健康との関連を探る研究,三つめは実行されたサポートと心身の健康との関連を探ろうとする研究である。これらの三つのアプローチのうち,認知されたサポートの研究と実行されたサポートの研究の多くは,サポートを大きく道具的サポートと社会情緒的サポートの2種類に分類し,それぞれのサポートが人々の心身の健康といかに関連するかを検討するものである。いずれのサポートも,それが誰によって提供されるのかによって効果が異なる。道具的サポートは,ストレッサーへの対処( コーピング)資源そのもの,もしくはそれについての情報を提供できる他者から与えられることが望ましい。多くの場合,そのような他者とは何らかの意味での専門家である。一方,情緒的サポートは,家族成員や友人など,親密な他者から提供されることが望ましい。もちろん,あるサポートが効果をもつか否かは,そのサポートを受け手がどの程度必要としているかによって決まる。もっとも,ソーシャル・サポートの効果にはおのずと限界がある。ストレッサーがあまりにも強いものである場合には,いかに良好な対人関係をもっていようとも,それがストレッサーの悪影響を緩和することはない。また,ある人にとってサポーティブな関係は,同時に葛藤を含むものでもある場合が多い。したがって,対人関係の質をその肯定的な側面であるサポートのみから正確に理解することはできない。近年では,対人関係のもつ肯定的な側面の効果と否定的な側面の効果とがいかに関連しあっているのかについての正確な理解を図ろうとする研究が行われ始めている。


ソーシャル・ワーカー

イギリスの慈善組織化協会の事業の一つとして,1895年に世界で初めて医療ソーシャルワーカーが,ついで1905年にアメリカで生まれた。その時代の共通点は,資本主義の発達過程で独占段階へ移行し,医療・貧困・社会問題が深刻・顕在化した時期であった。わが国では,1920年代なかばに始まった社会福祉固有の援助活動である。家族・経済・疾病・職場・環境などの生活上の諸問題や対人関係での不適応などについて,個人・家族を対象として,社会資源を動員し調整を図り,問題解決への側面的援助をする技術者である。アメリカでは,1955年,全米ソーシャルワーカー協会として一本化され州による免許資格として制度化された。イギリスでも,71年,総合的なワーカーの職能団体となった。わが国では福祉職として社会福祉士,精神科医療の分野では精神保健福祉士が,近年資格として制度化された。今後は在宅ケアや高齢者の地域医療・福祉を支える役割を医療・福祉の分野で期待される。


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