デポジット制度
出典: Jinkawiki
概要
デポジットとは預かり金のこと。 製品の販売時に預かり金(デポジット)を上乗せしておき、消費された際それを返却すれば預かり金が戻される制度。使い捨ての飲料容器(缶やビン)などの環境に悪影響を与える製品の回収を促進することが目的。 例えば、自動販売機で売っている缶ジュースを、1個200円して、飲み終わった後、その缶を返却すれば100円が戻ってくるというシステム。 主として道路の脇や公園の草むらに散乱する空き缶や空き瓶の回収、再利用を促す。そうすれば、缶やビンのポイ捨てをなくすことができる。 1970年代の初め、70年代のエネルギー危機をきっかけに、オレゴン州などアメリカ各州政府によって導入される。 ドイツでは、法律面で、まず「1988年PETボトル デポジット政令」が、使い捨てPETボトルに1本50ペニヒ~2マルク(約50~200円)のデポジットを義務づけた。また3年後の「1991年包装政令」により、あらゆる飲料容器に強制デポジットを定めた。ドイツ国民の約7割がデポジットに賛成しており、国民はしっかりデポジット料を取り戻す。飲料ビンの4分の3は再使用ビンである。飲料ビンは何回もリサイクルされるため、ビンの表面に細かい傷がたくさんある。 スウェーデンでもデポジットの歴史は古い。まずガラスビンの形を業界主導で統一をし、廃棄物問題が注目された1982年にビールと清涼飲料水のアルミ缶に1本約50オーレ(約5円)のデポジットを課した。その後も政府と飲料業界とが協力し合い、デポジット導入を広めた。 日本では、「ローカル・デポジット制度」として導入させることが多い。これは、景観保全や美化対策として、事業者と消費者との協力のもとで回収、処理システムを設備、運営する制度である。
問題点
デポジット制度は、高い回収率が見込まれる一方で、いくつかの問題点があり、デポジット制度の普及を難しくしている。 ・回収した容器の保管する場所の確保、それを処理するシステムの必要性から、費用の負担が大きくなる。特に都市部で深刻な問題である。 ・デポジット制度の導入により、対象となる商品のデポジットの分の価格が上昇することになるので、購入時に支払い価格は上昇する。そのため、デポジット制度対象の商品の需要が減少する可能性がある。 ・不正に返金料を受け取ろうとする犯罪も生じる。 実際、アメリカのミシガン州では、自動の回収機から返金料金を盗む行為が増え、逮捕者が出る。返金料を得る目的で、デポジット制度未導入の他の地域から、対象の商品が持ち込まれることが多く発生する。結果として、回収の負担が増加、さらに返金料による財源の不足する問題が起こる。 このような問題を解決するために、様々な対策法や新しいシステムの必要性から、負担も大きい。 こデポジット制度を日本全体で導入することに関して、賛成の自治体が8割を超えるが、地域の一部での実施に賛成の自治体は少ない。
参考文献
「用語集 政治・経済 最新第4版」(清水書院)
「本質が見えてくる 最新現代社会資料集」(第一学習社)
「プリタニカ 国際大百科事典」(平凡社)
「リサイクル 回るカラクリ止まる理由」安井 大(日本評論社)
「循環型社会への提言ー緑豊かなゆとりある生活環境を目指してー」北野 大(研成社)
ハンドル名 sarasa