デンマークのしつけ
出典: Jinkawiki
デンマーク人は何かにつけてよく抱きしめるという行為を行う。親は子供を保育園に送ったとき、迎えに行ったとき、また感情を表す時とあらゆる場面で抱きしめ、親の愛、親の支援を体で表現する。抱かれた子供は悲しくて大泣きしていてもギュッと抱かれることで安堵感を持ち、気持ちを切り替えることができるようだ。そこだけをみると常にべたべたしているように感じるが、デンマーク人は子供と添い寝を絶対にしない。子供たちは、幼いころから自分のベッドで一人で寝る。母乳時期の生後半年くらいまでは、両親のベッドルームにおかれたベビ-ベッドに寝ている場合が一般的であるが、一歳くらいには子供のベッドに寝るようにしつけられ、両親と子供とのけじめをはっきりさせる。デンマーク人のもつ「自立精神」や「個」の育成は、すでに寝る条件からも始まっているのである。 またデンマークでは体罰がタブーであり、法律で禁止されている。デンマークでは一般的に、「愛情、養護、そして会話が相互尊重をはぐくむ」という姿勢を優先しているため体罰など嫌悪の対象なのである。子供のしつけは子供を一人の個人として尊重し、年齢を問わず十分に話し合いながら悟らせる行程が好まれ、一般家庭に深く浸透している。体罰よりも悟らせることはとても時間のかかるものであるが子供が善悪を見極めるチャンスとしては質の高いものである。「子供なのだから話してもわからない」などと、子供の知恵を無視してはならない。子供はどんなに幼くても、大人が真剣に話して聞かせればたとえ言葉を使わない幼児期でも十分理解する力があると考えられている。だからデンマークでは体罰よりも会話重視でしつけられ会話重視でしつけられた力があらゆる社会の人間交流で発揮されているのだ。 またデンマークの親は親の決めつけた意見を子供に当てはめようとすることを嫌う。人生の先輩として自分の意見を述べたり、子供と話合うことで結果的に親の考えに収まる事もあるかも知れないが、決定は「あなたが決めなさい」と子供に委ねる。このプロセスは「物事を自分で考え結論を出す」スタートである。進路選択は自分で考え決めるものでありその大きな責任も自分で持つことになる。親は子供が成人になるまでアドバイスを送るが、自立への努力は幼いころからしなければ身に付かないとわかっているため幼いころから子供に考えさせ選択させる習慣をつけさせるのである。
参考文献 デンマークの子育て・人育ち 澤渡夏代ブラント著 HM