ナショナリズム2
出典: Jinkawiki
ナショナリズム2
起源
ナショナリズム起源は、遥か昔のイギリスやヨーロッパの小国にまでさかのぼることができる。しかし、それがもっとも大きな勝利を収めたのは1815年以降のことであった。ナポレオン以後の新しい政治の流れの中でナショナリズムが大きな成果をあげた背景には、個々の支配者や権力集団の利益よりも、パブリックインタレスト(公共の利益)を確実なものとするためには、新しい政治制度が必要であると考えられるようになったのだ。古い法制度や宮廷政治では、もはや各国の政治問題を解決できそうになかったからである。 新しい政治制度は、いずれもある種の新しい原理を取り入れることによって実現されていった(比較的早く実践した国もあれば、かなり時間のかかった国もあった)。そうした原理のなかで、王朝主義をはじめとする古い原理'を、もっとも強く否定していたのがナショナリズムである。
結果
その結果、ヨーロッパの政治思想のなかに、「歴史的」であると認識された国民(民族)の利益を政府が守り発展させるべきであるという考えが、急速に広まっていった。それとともに、どの国民が歴史的に重要であるか、彼らの利益をどのように定義すべきかなどといった問題について、激しい論争が行われることになったのである。
国家権力の増大
一方、ナショナリズムのほかにも重要な原則があった。それらの原則は実際には「民主主義」や「自由主義」といった言葉ではとうてい表現しきれないのだが、ほかに適切な表現がないので、ここではそうした言葉を用いることにしておく。 ヨーロッパでは、より多くの人々の政治参加を実現するために、代議制度を採用する傾向が各国に広まっていった。自由主義者と民主主義者とさはほぼ一貫して、選挙権の拡大と代議制度の改善を要求していった。同時に先進国の政治制度と社会制度は、以前にも増して個人に基盤を置くようになり、地域社会や宗教、職業、家族などの一員であることよりも、個人としての権利の方が重視されるようになったのである。こうして、確かに自由が拡大していったわけであるが、逆に以前よりも自由を失った面もあった。国民国家においては国家が国民に対してかつてなかったほど法的に強い立場に立ったため、国家は国民をより効果的に支配できるようになっていったのである。
参考文献
・「民族とナショナリズム」 アーネスト・ゲルナー 岩波出版
・「ナショナリズム入門」 植村和秀 講談社現代新書
HN・YOROP209