ネクストイレブン

出典: Jinkawiki

目次

概要

ネクストイレブンとは、BRICs(経済発展が著しいブラジル (Brazil)、ロシア (Russia)、インド (India)、中国 (China) の頭文字を合わせた4ヶ国の総称)の名付け親でもあるアメリカの投資会社ゴールドマンサックス社が考え出した、BRICsの次に成長してくる新興国11カ国の名称のことです。11カ国とは、ベトナム、フィリピン、インドネシア、韓国、パキスタン、バングラデシュ、イラン、ナイジェリア、エジプト、トルコ、メキシコである。

BRICsの高い成長性は、既に世界中の投資家には周知の事実であり、投資対象としての妙味は既に薄れていると見る専門家も多いようだ。確かに中国では、すでに外資系のファンドが過剰なまでに投資しており、北京や上海では土地バブルが起こるなど、加熱しすぎているきらいがある。またロシアは、原油や天然ガスなどの資源高がもたらしている好景気に乗っているだけであり、資源価格の変動に左右される脆弱さを多分に含んでいる。

そこで、まだ世界の投資マネーが集まっていないで、しかも今後健全な経済成長が期待できる国家として、ネクストイレブンの国々が挙げられた。最近では日本でもベトナム株ブームが起こりつつあり、人口が1億人を超えるパキスタン(1億5800万人)、インドネシア(2億2300万人)、バングラデシュ(1億4200万人)、ナイジェリア(1億3200万人)、メキシコ(1億700万人)などは、市場としても非常に魅力的だといえる。

近年の経済状況

直近3年間のネクスト11の平均GDP成長率は5.9%であり、過去15年で最も高い水準だ。中国などBRICsの高成長国に匹敵する成長を遂げたのはベトナムだけだが、過去5年の平均成長率が5%を上回る国は5ヵ国になる。

また、多くの国でインフレ率が低下し、経常収支はほとんどの国で黒字になった。いくつかの国では世界経済への統合が進み、ベトナム、エジプト、トルコ、パキスタンでは貿易が大きく開放された(特にベトナムではGDPに占める貿易の割合が2000年以降に35%以上も上昇しました)。 そのようななか、イランを除く10ヵ国のうち8ヵ国の株式市場では、200%以上の値上がりがみられた(ベトナム市場の2003年以降の上昇率は500%を越えています)。にもかかわらず、ネクスト11市場の多くでは、先進国やBRICs諸国に比べ、相対的に割安な水準で取引されている。


成長の見通し

■規模の点でBRICsに並ぶのは無理としても、2007年時点ではG7の10分の1強にすぎないネクスト11のGDPは、2050年までにG7の3分の2に達する可能性がある。

■安定した成長環境を保てれば、すべてのネクスト11諸国が今後20年間、4%以上の成長が可能となるだろう。

■ネクスト11で新たに生まれる需要は2025年前後にG7を追い越し、2050年にはG7の2倍となり、世界の経済成長への寄与が加速する可能性がある。

■G7諸国(米国を除く)に並ぶ経済規模を持つ可能性があるのはメキシコとインドネシアだけですが、ナイジェリア、韓国、トルコ、ベトナムも、一部のG7諸国の経済規模には追いつく可能性がある。

■一方で、安定成長を実現しても、数十年内に所得水準で先進国に追いつく可能性があるのは韓国とメキシコだけでしょう。経済規模のランキングに比べると、所得水準のランキングには変化が少ないとみられる。

■ただし、他のネクスト11諸国も、所得水準はかなり上昇するだろう。なかでもベトナムは今後25年で所得水準が5倍以上になる可能性がある。

■ネクスト11の夢が現実になるなら、アジアを中心とする途上国への投資シフトが、さらに加速されるかもしれない。


問題点

しかしこの「ネクストイレブン」というくくりには、大いに問題があると言えます。韓国やメキシコのような、市場がすでに成熟していて先進国に近いような国と、国民の多くが飢えや貧困に苦しんでいるパキスタンやバングラデシュを同列に語るのはかなり無理がある。

世界的に見ても最貧国のひとつであるバングラデシュを入れるくらいなら、南アフリカを入れるべきでは?という疑問の声も多い。南アフリカは次回のサッカー・ワールドカップ開催国でもあり、社会インフラの整備が急ピッチで進められている。2005年度のGDPは世界第29位と、経済力だけで見ればネクストイレブンの国々を凌駕している。

実際に日本で投資を行う際、ブームが起きつつあるベトナム株ですら扱う証券会社はごくわずかですし、パキスタンやバングラデシュなど投資はおろか、旅行に行くことすら困難な国だ。しかし南アフリカに投資するファンドや、南アフリカの通貨=ランドに投資できる(FXや国債など)証券会社は数多く存在する。

結局のところ、ネクストイレブンの定義(対象国の選定)は、ゴールドマンサックス社の独断と偏見を多分に含んでいるということだ。ゴールドマンサックス自体が世界最大級のヘッジファンドみたいなものだから、自分達が先回りして投資に力をいれている国々の宣伝として、ネクストイレブンを発表したのだととらえるのが妥当かもしれない。ゴールドマンサックスの営利の為に作られた造語、とでも言うべきだろうか。

なのでネクストイレブンに関しては、経済評論家から疑問の声が続出しているので、それならベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンの5カ国を推す「VISTA」の方が、まだ現実的だという声も多いようだ。

参考資料

「ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント」http://www2.goldmansachs.com/japan/gsitm/column/emerging/index.html


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成