ノルウェーの男女平等

出典: Jinkawiki

  ノルウェーの男女平等の歩みについて

  20世紀初めには、ノルウェーでは女性の権利や可能性はほとんどなかった。女性は政治の世界には全く参加していなかった。1913年に女性が参政権を獲得し、女性議員が初めて当選したのは1920年代であった。女性の労働条件はその家の社会的階級・経済状況に影響され、結婚をしていた女性は、どういった社会的階級でも家庭外労働はしなかった。当時、女性の最も重要な役目は出産・育児、そして家庭と主人の面倒を見ることとされていた。教育の面でも男の子が優先され、女の子は小学校の教育しか受けられなかった。                                                                          ノルウェーは第二次世界大戦後、国の復興をかけた大事業に取り組んだ。福祉国家達成のためには「全員に仕事を」ということが大きな目標であったが、ここでいう全員とは男子全員という意味であった。それから、福祉国家の誕生と経済的余裕が教育水準にも影響を与えた。この頃もまだ、女の子たちはいずれ結婚し、専業主婦になるという考えが根強かった。しかし、女性も徐々に高い教育を受けるようになっていった。

 60年代から70年代、欧州では大きな社会変動が起こり、女性解放や女性の権利が多くの国で取り上げられるようになった。ノルウェーにおいても男女平等政策が論議され、20世紀初めから活躍していた女性団体や男女平等促進運動は注目を浴び、急速に発展していった。新しい組織も設立され、政党内では女性・婦人事務局が設立された。1972年には男女平等審議会が設けられた。これが現在の男女平等センターである。女性の立場を強化する運動、また、男女平等促進活動をしている。1973年には男女平等法提案を審議するため、法的委員会が設けられた。1978年、国会で男女平等法が可決された。そして、1979年の男女平等法施行とともに男女平等オンブッド(OMBUD)が誕生した。  

    男女平等オンブッド

  オンブッドの機能は大きく分けて2つある。一つは、男女平等が守られているかどうかの監視役である。差別を受けていると思う人がいれば、男女平等オンブッドに苦情を言うことができる。もう一つは、社会全体に男女平等を働きかける役目である。オンブッドとして、常に男女平等に関して社会的にディベートが行われている場、例えばテレビなどのマスメディアに顔を出して意見を述べたりする。オンブッドは男女平等達成のために重要な役割を担っている。


    現在のノルウェーの女性

 今日のノルウェーの女性は50年前とは大きく違った状況にある。現在のノルウェーでは70%の女性が家庭外で仕事をしている。そして、子供が小さいうちから働く女性が多い。ノルウェーの女性は以前より経済的・社会的に自立していて、男女を問わず、同じ相続権を持っている。結婚していれば、夫婦は互いに養う義務を持っていて、個人的に年金制度や社会保障に入っている。女性はあらゆる分野で仕事をしているが、雇用はまだ典型的で、公務員、介護、教職、民間では小売業に多く就いている。


  ノルウェーにおいて、男女平等はすでに完備されていると見られがちだが、いまだ課題は残るようである。


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