ノーマライゼーション
出典: Jinkawiki
ノーマライゼーションとは障害のある人を障害のない人と同等に、平等な人として受け入れ、その人の生活条件を可能な限り普通の生活条件と同じになるように努力するという考え方である。端的にいうと、障害のある人たちが、権利として可能な限り、その国、地域のごく普通の一般市民と同じような条件のもとで生活できるようにするということである。この考え方はデンマークのバンク-ミケルセンにより初めて提唱され、スウェーデンのベンクト-ニーリエにより世界中に広められた。1960年代にデンマークで生まれ、後に北欧諸国で広まり、世界中に広がった考え方である。
日本において「ノーマライゼーション」という言葉が出現し、多くの人々の共感を得るようになったのは1970年代である。特に広く知られるようになったのは1981年の「国際障害者年」がきっかけである。この国際障害者年のテーマ「完全参加と平等」の具体的な実施のための行動計画が1982年に採択され、その中にノーマライゼーションの理念を反映した指針が述べられている。一つ目は、ある社会がその構成員をいくらかでも締め出すような場合、それは弱くてもろい社会であること。二つ目は、障害者は社会の中の異なったニーズを持つ特別な集団と考えられるべきでなく、通常の人間的なニーズを満たすのに特別な困難を持つ普通の市民と考えられるべきであること。三つ目は、障害者という問題はある個人とその環境との関係としてとらえる方が、より建設的な解決の方法であること。四つ目は、社会は物理的環境や保健、教育、労働、その他文化的生活全体を障害者に利用しやすいように整える義務を負っていて、これは障害者のみならず社会全体にとっても利益になること、である。これによって障害者福祉政策が大きく動き出し、ノーマライゼーションが政策理念の柱となった。その後1993年の障害者基本法の改正、1986年からの「障害者のすみよいまちづくり推進事業」、1995年の「障害者プラン-ノーマライゼーション七ヵ年戦略」などにこの理念が組み込まれている。
<参考文献>野村武夫著 『ノーマライゼーションが生まれた国・デンマーク』 2004 ミネルヴァ書房