バッキ訴訟5
出典: Jinkawiki
アファーマティブ・アクションに関する裁判のなかでも、連邦最高裁判所が「逆差別」に関して初めて取り上げた有名な判例。後のアフォーマティブアクションが関係する訴訟に影響を与えている。
概要
カリフォルニア州立大学デイヴィス校の医学部は入学者100人のうち16人を黒人やヒスパニック系の受験者に割り当てるアファーマティブアクションを導入していた。1970年代半ばごろ、この割り当てで合格した受験者よりも点数が高かったのにもかかわらず不合格となった白人のアラン・バッキが不服とし、訴訟したのがバッキ訴訟である。 第一審判決ではマイノリティーに特別な割り当てがあったことが違憲であるとされた。だが、バッキーがこの特別な割り当てによって不合格であったことが証明されなかったがために入学は認められなかった。カリフォルニア州最高裁判所では憲法に規定されている平和保護条項に反しているために違憲判決が下った。最高裁ではバッキーの入学拒否に関する検証責任を十分に果たせていないことから入学させるように言い渡された。さらに連邦最高裁判所ではカリフォルニア州立大学デイヴィス校が設けたアファーマティブアクションの効力を否定したものの、この入学制度に対してはっきりとした違憲判決はでなかった。
のちの影響
カリフォルニア州立大学デイヴィス校の行った割当制に対するバッキーの訴訟にはいくつかの争点がある。法の平等な保護を求めた合衆国憲法修正第14条や連邦政府から補助金を受ける団体が人種差別を行うことを禁じている1964年公民権法第6編に違反していないかに関して、連邦最高裁判所は割当制が人種のみを理由にしているがために違憲であると判断した。だが、連邦最高裁判所は学生たちの多様性を確保するためであれば人種を入学選考における要因とすることは合憲であるとも判断している。この二つの判断はのちのアファーマティブアクションに関する判決に依拠している。ミシンガ州立大学ロースクールの入試制度や同大学の人文科学芸術学部での入試制度などの判決などもこの二つの判断が基づいている。
参考文献
国立国会図書館調査及び立法考査局 編(2003)『外国の立法 : 立法情報・翻訳・解説(218)』国立国会図書館 久保文明研究会 土肥はるな(2003) 『年度卒業論文集グラッター判決とグラッツ判決の意義――1978 年バッキー判決をもとに――』 (http://fs1.law.keio.ac.jp/~kubo/seminar/kenkyu/sotsuron/sotsu13/19tohi.PDF)