パワーハラスメント2

出典: Jinkawiki

企業内で行われる上司や先輩からの職務上の地位や職場内の優位性を利用して、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的な苦痛を与えるものである。省略は「パワハラ」。


目次

由来

岡田康子(本問題のコンサルタント 株式会社クオレ・シー・キューブ代表)が2002年秋頃に造語した和製英語である。その後、マスコミなどで多く取り上げられたこともあり、パワーハラスメントの概念は広く一般に浸透することとなった。

定義

職場でのいじめやパワーハラスメントが近年の社会問題として顕在化していることを受け、厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ(WG)」は2011年7月から、パワーハラスメントの現状や解決策について議論していた。

WGが取りまとめた報告書では、以下の行為を「職場のパワーハラスメント」と定義している。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」 厚生労働省は平成24年1月30日、職場における「パワーハラスメント」の定義を発表し、報告書を公開した。

パワーハラスメントの対象には、上司から部下への行為だけでなく、同僚間や部下から上司への行為も含むものとしている。

海外のパワーハラスメント 

海外で、パワーハラスメントは様々な名前で呼ばれている。

★アメリカ ・モビング(mobbing) 訳:群れをなして襲う。群がり集まる ・ブリング(bulling) 訳:いじめ(主に子どものいじめを表します。 ・スピッティング(spitting) 訳:つばを吐く。軽蔑の言葉を吐く。

★フランス ・モラル・ハラスメント(moral harassment) 訳:心理的な嫌がらせ。


モビング(mobbing)という言葉の名付け親は、スウェーデンのハインツ・レイマン博士であり、 Mobbing=動物が群れをなして獲物を襲う行為を意味しているところから転じて、 職場での集団的な暴力行為やイジメを表している。


また、モラル・ハラスメント(moral harassment)という言葉の作者は、 フランスのマリー=フランス・イルゴイエンヌ博士である。

職場におけるいじめ=パワーハラスメントは海外でも問題となっており、 最初に法制化されたのはスウェーデンだ。

「職場での虐待に関する規則」という法令が1993年に規定され、 フランスでも、2002年に「労使関係近代化法」が公布された。

日本でも、一日も早いパワーハラスメント規制法の制定が望まれる。

行為類型

1.身体的な攻撃: 叩く、殴る、蹴るなどの暴行を受ける。丸めたポスターで頭を叩く。

2.精神的な攻撃: 同僚の目の前で叱責される。他の職員を宛先に含めてメールで罵倒される。必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱る。

3.人間関係からの切り離し: 1人だけ別室に席をうつされる。強制的に自宅待機を命じられる。送別会に出席させない。

4.過大な要求: 新人で仕事のやり方もわからないのに、他の人の仕事まで押しつけられて、同僚は、皆先に帰ってしまった。

5.過少な要求: 運転手なのに営業所の草むしりだけを命じられる。事務職なのに倉庫業務だけを命じられる。

6.個の侵害: 交際相手について執拗に問われる。妻に対する悪口を言われる。


対策

パワーハラスメント対策として管理職や一般社員を対象とした講演や研修会や、企業トップによる宣言、就業規則へ盛り込む、などに取り組んだ結果、パワーハラスメントの予防や解決につながった、という企業も既にある。

厚生労働省でも、平成24年10月に、ポータルサイト「あかるい職場応援団」を開設し、職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けて様々な情報発信を行っている。

以下がパワーハラスメントの予防・解決のために企業や労働組合が取り組んでいる主な例である。


予防するために

トップのメッセージ

組織のトップが、パワーハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示す

ルールを決める

就業規則に関係規定を設ける、労使協定を締結する

予防・解決についての方針やガイドラインを作成する

実態を把握する

従業員アンケートを実施する

教育する

研修を実施する

周知する

組織の方針や取組について周知・啓発を実施する


解決するために

相談や解決の場を設置する

企業内・外に相談窓口を設置する、職場の対応責任者を決める

外部専門家と連携する

再発を防止する

行為者に対する再発防止研修を行う


また、こうした組織の取組を形だけのものにしないために、一人ひとりの取組も重要である。 まず、企業のトップは、パワーハラスメントを生まない組織文化を育てるため、自らが範を示しながら、その姿勢を明確に示すことが大事だ。また、上司は、自らがパワーハラスメントをしないことはもちろん、部下にもさせないよう職場を管理が必要である。そして、職場の一人ひとりが、お互いの人格を尊重し合い、適切なコミュニケーションや支え合いを心がけることが求められる。

法的措置

現状、パワハラを直接取り締まる法律は存在しない。 パワハラ被害は、その被害内容に応じて、刑事上では 名誉毀損罪(刑法第230条) 侮辱罪(同法第231条) 暴行罪(同法204条) 傷害罪(同法204条) …等で告訴を行い、加害者に対する刑事処罰を求める。

また、民事上では、不法行為に基づく 損害賠償請求(民法第709条)をすることが可能である。


さらに、著しいパワハラ行為によって 結果的に退職せざるを得ない状況に追い込まれてしまった場合には 「特定受給資格者」(雇用保険法第23条第3項第2号)が適用され、 雇用保険法上の失業給付を受けられることがある。

すでにお伝えしたように、パワハラの被害を法律的に証明するためには、 刑法や民法の力を借りることになる。

ただし、パワハラ被害に遭っているからといって全てのケースが 刑事上・民事上の責任追及を認められるという訳ではない。 法律の力でパワハラ加害者に責任を追及するためには、 それなりの証拠が必要である。


まず、 「いつ」 「どこで」 「誰に」 「どのようなパワハラ行為を受けたのか」 メモやボイスレコーダーで記録しておくことが必要である。 また、あなたがパワハラに遭っていたという事実を証明してくれる 第三者を確保しておくことも大切だ。

さらに、パワハラによるストレスが原因で 心身に何らかの症状が現れた場合は、 専門の医療機関を受診して診断書を出してもらうことが重要だ。

これらの前提が揃って初めて、次のアクションに移ることが可能である。 刑事上の責任追及をする場合には、 前述した証拠を揃えて所轄の警察署に告訴状を提出する。

この時“処罰感情”を明確に示すことが大事だ。 あなたの処罰感情が伴わない申告は、 法律の上では単なる「被害届」で終わってしまい、被害届を出しただけでは、基本的に警察は動いてくれない。 なぜなら、法律上は、 「警察が対応しなければならない」という義務が発生しないからだ。


加害者を法律で裁きたいのであれば、 あくまでも告訴状として提出することが必須だ。


一方、 民事上の責任追及をする場合には、 相手に「内容証明」を送って話合いの場を設けたり、 裁判を起こしたりすることになる。 精神的損害に対する慰謝料や治療費、 パワハラで会社を休んでいた間の給料などを 「損害賠償」として請求することが可能となる。

引用・参考文献

パワーハラスメントとは 各種用語の意味を分かりやすく解説 ワードサーチ http://www.words-search.com/everyday/396

パワハラ 定義 - 労働基準監督署 - 厚生労働省 - 裁判事例 http://sumitani-sr.com/p-h-t1.html

パワハラ基本情報|あかるい職場応援団 -職場のパワーハラスメント http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/pawahara-six-types/

パワハラ とは - 由来・語源辞典 http://yain.jp/i/%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%8F%E3%83%A9

これってパワハラ?なくそう、職場のパワーハラスメント:政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201304/1.html#anc04

パワハラ関連の法律について知っておこう http://www.pow110.com/category3/entry40.html

海外でもパワハラってあるの? http://www.pow110.com/category4/entry9.html



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