ヒスパニック2
出典: Jinkawiki
ヒスパニック
アメリカ合衆国でスペイン語を日常語とするラテン・アメリカ系の住民の総称。差別的ニュアンスを排するため、ラティノ(Latino)とも呼ばれる。 英語を話し主流文化に溶け込むことがことなく、スペイン語のみによる地域社会を形成し、自分たちの独自の文化や価値観を維持して出身国であるラテン・アメリカと緊密な接触を保っていることが大きな特徴である。 ヒスパニックという言葉は個人が偏見を露わにせずに話すために使われる婉曲した表現であるという見方もある。これは、1970年代に使われ始め、80年代にかなり一般化された。
ヒスパニック系のラテン文化、音楽からファッションは大いに注目されている。言語・文化・教育のなどの面でも無視できないほど大きな活躍をみせる一方で、保守的なアメリカの人間は英語よりもスペイン語を話すことに固執し、アメリカの持つ伝統文化と合わず、彼らの文化を押しつけるようになっていまうことを危惧している。
・メキシコ系アメリカ人
メキシコ系アメリカ人はヒスパニック人口の二分の一以上を占める。農作物の収穫期などにメキシコからアメリカに稼ぎにいく季節労働者のブラセロとして入国した人が多い。パチェーコと呼ばれる第二次世界大戦後から南西部に流布したスペイン語を使用している。 また、メキシコ系の料理は商品化され、ファーストフード店やレストランで売られている。比較的安価であるためにアメリカ人に好まれ、中でもトルティーヤやタコスはポピュラーである。こうしてメキシコ系のヒスパニックがもたらした食事は、アメリカ人の食事の種類を豊かにしていった。
・プエルトリコ人
ニューヨークに集中している。その生活は市の経済状況によって左右され、未熟練もしくは半熟練の労働者が多く、住宅に恵まれず失業して生活保護を受けている人も少なくない。現在では、専門職に就ける移住者も増え、若い世代の教育水準も高くなってきたので、合衆国での競争力も増してきた。
・キューバ人
ラテンアメリカにおける最初の社会主義革命であるキューバ革命の後にスペインの支配を逃れた亡命者が定住した。ニューヨークやロサンゼルス、シカゴにも多いが、そのほとんどはフロリダ州に集まっている。40パーセントが住んでいるマイアミは、「北のバハナ」とよばれ栄えている。 キューバ人は音楽感覚に恵まれ、ルンバ・マンボ・チャチャ・サルサなどのリズムは、キューバと合衆国両方の活動の場としたキューバ人音楽家を生み出した。
ヒスパニックはあらゆる分野において、その活躍を見せている。ジェニファー・ロペス、リッキー・マーティン、グローリア・エステーファン、シャキーラ、ルイス・ミゲルは、ラテン音楽分野で有名である。また、文学分野では、ルドルフォ・アナーヤもよく知られた作品を残している。
参考文献
「アメリカの民族」 弘文堂 綾部恒雄編
「広辞苑 第五版」 岩波新書
「百科事典 マイペディア」 日立システムアンドサービス