ヒンドゥー教6

出典: Jinkawiki

目次

概要

『ヴェーダ』信仰とバラモン教を受け継ぎ、インド土着の宗教として生まれたのがヒンドゥー教であり、紀元前300年頃にカースト制度とともにその原型が形成され、4世紀のグプタ朝時代に発展、定着した。基本となる信仰はカースト制度(種姓)に生まれたという輪廻からの解脱を求めるものであるが、ジャイナ教や仏教の影響を受け、また民間信仰を取り入れて教義は多彩である。また教義的な内容としては、知識(真理を学び知ること、ジュニャーナ=ヨーガ)・行為(義務を怠らぬこと、カルマ=ヨーガ)・信愛(神への献身、バクティ=ヨーガ)という三つの道(ヨーガとは方法の意味)によって真理と自己の一体であること(梵我一如)を認識し、輪廻からの解脱を目指す宗教である。


三大神

 ヒンドゥー教は多神教であるが、宇宙を創造したブラフマー、宇宙を維持するヴィシュヌ、破壊の神シヴァの三神は一体であり、最高神が姿を変えてあらわれたものと考える。また、その解釈にも違いがあり、ヴィシュヌを最高神とするヴィシュヌ派とシヴァを最高神とするシヴァ派の対立がある。これらの神の信者は、それぞれの神に従って日常生活を送り、よき来世を願う。ヒンドゥー教の世界観では、ブラフマー神が世界を創造し、ヴィシュヌ神が維持支配し、シヴァ神が破壊するとされるが、シヴァ神の破壊は、創造のための破壊であり、再び新たな創造がブラフマー神によってなされるとされている。この創造→維持→破壊→創造というくりかえされるととられられる。この三大神はそれぞれの役割があるが、実体は一つの神であるという「三神一体説」も一つの教義として存在する。またこの三大神のうち、シヴァ神とヴィシュヌ神はそれぞれを信仰する集団が形成され、シヴァ派とヴィシュヌ派としてヒンドゥー教の中で対立したが、ブラフマー神はそのような信者集団を作ることはなかった。それはブラフマー神が観念的、抽象的な神であったためであろうと考えられている。なお、シヴァ派、ヴィシュヌ派とならぶヒンドゥー教の三大宗派のもう一つは、母神(ドゥルガー=カーリー)派といわれる派で、カーリーとして身を挺して悪に立ち向かい、ドゥルガーとして人間に慈悲を授ける女神を崇拝する集団である。


食事

宗教が生活の土台となっており、食材、食べ方(誰と一緒に食べるか)、食事を食べる時間や時期に対して非常に気を遣う。 ノンベジタリアンの人と一緒に食事することを嫌う人もいる。また、ヒンドゥー教では不殺生を旨とするので、肉食を避ける人が多数存在する。穢れに対する意識が強く、他者から唾液によって穢れが感染すると考えられ、食器は使い捨てが一番清浄であるという意識を持っている。家庭で食事することを好む人が多いのは、外食の場合、同じ調理器具で肉を調理した可能性があるからである。ヒンドゥー教徒は基本的に肉全般、魚介類全般、卵、生ものは避ける。中には肉を食べるヒンドゥー教徒もいるが、その場合でも食べる対象は、鶏肉、羊肉、ヤギ肉に限定されている。右手は神聖な手、左手は不浄な手とされているため、給仕するときは必ず右手を使う。


参考文献

・山下博司(2004)『ヒンドゥー教』講談社

・シベール・シャタック(2005)『ヒンドゥー教』春秋社


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