ピアノ3

出典: Jinkawiki

現在のピアノの原型をつくったのは、イタリアのクリストフォリである。チェンバロの音が強弱の変化に乏しいことを不満に思い、爪で弦をはじいて鳴らす代りにハンマー仕掛けで弦を打って鳴らすという、現在のピアノ・ メカニズムを発明した。彼はこのメカニズムを備えた楽器を「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」と名付けた。 この名称を短くつめて、現在「ピアノ」と呼ばれている。クリストフォリの仕事は、イタリアでは後継者がおらず、ドイツのオルガン製作家ジルバーマンに受け継がれた。彼はクリストフォリの発明に改良を重ねて 新しいピアノをつくった。その後ドイツでピアノ工業が発展し、その発展に最も大きな貢献をしたのが、ヨハン・アンドレス・シュタインである。彼はオルガン製作家ジルバーマンのピアノのメカニズに新たな改良を加え、ドイツ式と呼ばれるアクションを完成させた。このアクションは長年にわたって評判で、シュタインのピアノは軽快なタッチと音が特長である。一方イギリスではヨハネス・ツンペが、スクウェアピアノ を制作した。ピアノを初めてソロ楽器として公開演奏したのは、バッハの息子であったが、そのとき使われたのがこのスクウェアピアノである。ツンペが発明したスクウェアピアノに改良を加え、弦の張力を増し、フレームも強いものにしたのが、イギリスのジョン・ブロード・ウッドである。彼のイギリス式アクションは、抵抗感のあるタッチと力強い音を生み出した。この、ブロード・ウッド製のピアノは現代のピアノの先駆けといえる。初期のピアノフォルテは、1台1台が手作りで、音域も18世紀の終り頃までは5オクターブが標準であった。しかし、フランス革命を境にそれまで貴族のものであったピアノ音楽も 一般大衆化し、ピアノ工業も大きく発達した。大衆化に伴い1000~2000人の人達に聴かせるためのホールもでき、ピアノも音域の広がりとともに、ホールで聴くに耐える音量や音の伸びが要求されるようになった。その結果、手作りで1台のピアノを完成させることは不可能な時代に入った。そして、18世紀、19世紀と時が流れ、改良に改良を重ねた結果全体の張力も増大し、それを支えるために鋳物の鉄骨を組むようになる。 そのうえに華やかな明るい音を求めるとなると、弦の張り方も限度まで張力を高めることになる。最終的に、現代ピアノの張力のトータルは、20トンにも及んでいる。


参考文献 音楽の進化史 著者 ハワード グッドール 出版社 河出書房新社 発売日 2014-05-14

ピアノの歴史 著者 スチュアート・アイサコフ 出版社 河出書房新社 発売日2013-05-23


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