フォルケホイスコーレ4

出典: Jinkawiki

目次

概要

 フォルケホイスコーレ(Folkehoejskole)とは、北欧全土で広範囲に設置されている成人教育機関で、公教育から独立した私立学校である。語義は「民衆の大学」といった意味になるが、私たち日本人が想像する総合的な大学よりも小さく、自治体、市民団体で行われている「カルチャーセンター」などを寄宿制にしたものといえる。当初は、義務教育を終えた人対象の高校教育の場として機能していたが、現在は大学教養や大人が教養を教養学ぶ場として機能している。  フォルケ・ホイスコレは北欧の教育文化として、しっかりとした教育理念を裏打ちしているため、さまざまな影響力を持っている。2008年度現在で、フィンランド90校、スウェーデン160校、ノルウェー77校、デンマーク76校と北欧全体で400程度の設置がされている。


特徴

入学資格は17歳半から18歳以上であれば国籍を問わず誰でも学ぶことができる。しかし、授業はデンマーク語で行われ、世界各地から生徒が集まるため学校によっては高いレベルの英語力や現地語の能力が必要となる。入学試験や在学中の試験などはなく卒業によって得られる資格もない。また、寄宿制をとり、教師と学生が校内の宿舎で共同生活をするか学校の近くに住むことになっている。ホイスコレでは、共生が重視されている。食事やお茶など、互いにリラックスする時間を共有することにより、生きた言葉で対話することが可能となるため、打ち解けやすくなる。学費は、授業料、寄宿料、食費含む総額で、2009年度現在、1か月10万円~12万円が目安となっている。科目は、人文科学系、芸術、体育スポーツ、言語など様々な科目がある。さらに、科目以前に、授業や共同生活の中で社会階級や国籍を超えた交流し自己を見つめ再発見することで、もっとも自分らしい生き方に出会うことが一番の目的としてある。学習期間は、最大10カ月で3カ月、6か月といったものが多い。  この学校は民衆の対抗教育ということで国家からの自由が一番の思想となっているが、学校出身者が政権を担当したことにより、経常費の約8割は行政から援助されている。しかし、学校の授業内容や運営は行政から独立して行っており、私立学校というスタンスを保っている。


目的

 フォルケホイスコレは1844年にデンマークの哲学者・詩人・宗教家のグルントヴィによって初めて創設された。元はデンマークの農民たちに国家への帰属心を育てるためにはじめられた。現在は進路決定前のものモラトリアム期間に自分の生きる道や職歴を得た社会人が断力を身につけ、自分の生きがいを築き、他者を気遣った自己実現の道を考えるということがこの学校の目的である。

日本のフォルケ・ホイスコレ

 内村鑑三や賀川豊彦などがグルントヴィから大きな影響を受け、松前重義はデンマークのフォルケホイスコレにならって東海大学を設立した。日本で生まれたフォルケホイスコレは、大きく分け3つの流派があった。プロテスタント主流派の日本基督協会の牧師によるもので、農民組合や農業協同組合を作る大きな力となったが、次第に農民へのキリスト教伝道を中心に変質し、力をなくした。2つ目は、内村鑑三の弟子ら無教会派によるもので、山形の独立学園高校をはじめ、全国にこの流れを持つ全寮制の高校を残している。3つ目は、クリスチャンであった加藤完治らによって担われた皇道主義的農本主義によるものである。これは、全国に広がり、満州開拓時には数万人の青少年が送り出され、シベリア抑留の悲劇を生んだ。満州でもいくつかの国民高等学校が設置されたが、すべて敗戦と共に消えた。しかし、現在も全国で何校かは、農業専門学校というように形を変え存続している。 さらに現在、フォルケホイスコレとして協会に属しているのは、3校ほどである。


参考文献

フォルケホイスコーレ入門 http://folkehojskole.jp/honmon.html

フォルケホイスコーレ http://www.asahi-net.or.jp/~pv8m-smz/society/hoeskole.html

日本における農民学校(フォルケホイスコレ)の歴史 http://www.phoenix-c.or.jp/~m-ecofar/167.html

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