ホームヘルプサービス

出典: Jinkawiki

目次

ホームヘルプサービスとは

長命化が長期にわたって家庭内介護の必要性を高め、女性の労働力を家庭内に引き戻す作用をもたらしてしまった。そこで、高齢者の地域社会内居住を支えることと女性労働力の不足を防ぐことが、労働力が不足しがちな国々の政治的課題となった。もともとは多くの国に高齢者、障害者、病人に対する民間支援団体による伝統的な活動はあったが、その一部を取り入れつつ元来家人が担ってきた世話活動をメニュー化し契約方式で組織化しようとしたのが高齢者に対するホームヘルプサービスである。 高齢者、障害者、病人に対する家人・隣人のサービスを起源とするホームヘルプサービスは、家事業務の支援(家政管理や家事などの日常生活の支援)、介助(身の回りの世話。パーソナルケアとも呼ばれる)、社会的ケア(ソーシャルケア)に3大別されたり、これにリハビリテーション訓練(自助具の利用の支援、育児・栄養・調理・家計等家庭維持のための技能習得の援助など)を加えて4大別される。あるいは、家事業務と介助を合わせて介護とし、リハビリテーション、後見人的な援助(単身者への親代わりの助言など)の3領域とする分け方もある。


ホームヘルプサービスの歴史

20世紀中頃、第二次世界大戦後の精神障害者批判から脱施設化が考えられ、有力な方法としてデイサービスを広げようとしたことがあった。それは西欧世界であまりにも巨大化した精神病院を作ったためにおきた社会との断絶、そこから起きた入院患者の人間性の無視への批判からだった。その結果ほとんどの欧米諸国で「地域ケア」というこんにちに続く基本的な目標概念が生まれた。その後に先進各国での平均寿命の上昇から人口の高齢化が著しく進み、病気がちな高齢者・障害を持つ高齢者が増加し、これらの高齢者に対する収容施設の整備が進む。高齢化の問題は精神障害よりも圧倒的に身近であったために世間の注目を浴び、収容第一主義の見直しと地域ケアシステムの開拓が進んだ。これによって更に脱施設化が進み、1で述べたようなことからホームヘルプサービスが広まった。


ホームヘルプサービスと訪問看護サービスの関係

保険・医療サービスにおける訪問看護サービスとホームヘルプサービスでは、類似する行為が多く含まれる。例えば、清潔を保つことや食事・排泄の世話などの広い範囲のどちらともつかない領域が存在するからである。また、在宅ケアがさかんになっていくにあたり、専門性の高い処置などをどの範囲までの行為を行えるかなども現実問題として議論されている。ケアの内容だけでなく目指すべき方向にも違いがあり、ここでの相違は在宅ケアの本質を看護を主体と考えるか、家事全体を主体と考えるかによって生まれる。看護の業務規定が極めて包括的であることからも生まれるこれらの問題はこれからも議論が必要とされる。


参考文献

精神障害者のホームヘルプサービス・・・そのニーズと展望(大島 巌)中央法規出版


HN.96


  人間科学大事典

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