ボランティア元年

出典: Jinkawiki

目次

ボランティアとは

自由意思をもって社会事業、災害時の救援などのために無報酬で働く人。

社会的背景

ボランティア元年とは、「ボランティアブーム」のきっかけとなった1995年の阪神・淡路大震災の年を指すが、この年から人々が急にボランティアに関心を持ったというのではなく、それ以前からいくつかのボランティア活動推進策は推奨されていた。 厚生省では、1993(H3)年に「国民の社会福祉に関する活動への参加の推進を図るための措置に関する基本的な指針」が、中央社会福祉審議会地域福祉専門分科会から「ボランティア活動の中長期的な振興方策について」という意見具申が出された。この中で国が積極的に推し進めたのが、ボランティア活動に対する「社会的評価」である。ボランティア活動をした者には、調査書等に記載し、進学や就職等で有利になるようにしていくというものだった。

展開

1995(H7)年1月17日、午前5時47分、最大震度7、マグニチュード7.3の都市直下型地震が兵庫県南部地方で起こった。建物は崩壊し、道路には歪みや亀裂が生じ、死者6434名、負傷者行方不明者4万3792名、全半壊住宅24万9180棟(2005年調べ)と、大惨事であった。 災害直後、全国社会福祉協議会から都道府県・指定都市社会福祉協議会宛てに、生活福祉資金貸し出しのためのスタッフ派遣要請と、ボランティア・コーディネーターの派遣要請もされ、現地においてボランティア・コーディネートが展開された。

意義(その後の影響)

ボランティアブームはいくつかの課題も露呈した。1つはボランティア・コーディネートの未成熟な状況である。増えるボランティアニーズと、駆けつけるボランティア希望者の両者を円滑に調整することができず、ボランティア活動をめぐり、ちぐはぐな状況が被災地で見受けられた。これを改善するために、ボランティア・コーデイネーターの養成が急がれ、全国社会福祉協議会では積極的に取り組むこととなった。 また、震災によって住居が崩壊した独り暮らしの高齢者が仮設住宅等に引っ越してきても、住み慣れた地と同じ様な人間関係を求めることができず、一人でなくなってしまうケースも少なくなかった。最近言われている高齢者の「孤独死」問題と共通する点も多い。 しかし、それ以降起こった国内外の自然災害などに対する国民のボランティア活動意欲は年々高まっていった。


参考文献 社会福祉発達史キーワード 古川孝順・金子光一 有斐閣双書

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