モラトリアム人間

出典: Jinkawiki

 アメリカの精神分析学者工リクソンはライフサイクルにおける青年期の延長を説明する際にモラトリアム(支払猶予という意味)という語を使用している。彼は,青年が自己を確立するまでの数年間は大人への準備期間として心理的にも社会的にも責任を免除され,試行錯誤的に様々な司能性にチャレンジする期間とした。社会の側がそのような余裕を青年に提供するわけだが,最終的には青年が社会的責任をはたせる大人となることを前提としているわけである。しかし、最近使われている「モラトリアム」という言葉はエリクソンがいったようなニュアンスで使われなくなり、以下に挙げるような意味で現在は使われることが多いようだ。

 モラトリアムという語を使って、日本の精神分析学者小此木啓吾が1970年代以降の日本の若者たちの大人になろうとしない傾向を、その著書『モラトリアム人間の時代』において以下のように指摘した。  「このような若者たち(のちには若者に限らずすべての階層に共通するとした)の特徴としてつぎの五つがあげられる。①「お客様」意識をもち続けていつまでも社会に対して責任をとろうとしない。②将来の自分の可能性をつねに留保しておくために,特定の組織や集団にかかわることをさける。③アイデンティティの確立に際してさけられないはずの「あれか,これか」といった選択をさけて「あれも,これも」と欲ばるため,具体的な出来事に対して確固とした対応ができない。④社会によって責任を猫予されているという意識が薄く,あたかも権利であるかのように自己のおかれた立場を正当化する。⑤友人関係においても,社会に対しても一時的にしかかかわらない。彼らにとって、現在の自分は「仮のもの」であって「本当の自分」は常に未来のものとして大切に保存されているのである。」

  他に似たような言葉として、「ピーターパン・シンドローム」という表現で大人としての責任から逃れようとする若者を指すものがある。


参考(http://www.tennoji-h.oku.ed.jp/tennoji/syakai/rinnri/4gatu3.htm)


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