モンゴロイド
出典: Jinkawiki
●モンゴロイドとは
アジア大陸の東半分、その南東・東方に散在する島々、南北アメリカ大陸に広く分布する人種群のことである。地球上の全人口の約3分の1がモンゴロイドに属する。モンゴル人種、黄色人種とも言われている。しかし最近では「人種」という分類法は否定されている。したがって、モンゴロイドという定義も厳密には成立しないのである。また、アフリカ集団内の遺伝子の多様性は他の人種の多様性より大きいと考えられている。
●モンゴロイドの起源と成立・分布
モンゴロイドは、中国またはその周辺が起源のものであると考えられている。原モンゴロイドは、北東アジアにまで広がったが、最後の氷期の寒気が募ると、一部のものは小集団に分かれ、海退で生じたベーリンジャ(ベーリング海峡)を通ってアラスカに渡り、以後南北アメリカ大陸に分散し、アメリカ大陸の先住民(アメリカ・インディアン)となったと考えられている。一方、北東シベリアに残った集団は、その南方に連なる山脈にできた氷河によって退路を断たれ、極度の寒気に当面し、寒地に適した衣食住や狩猟法の発明という文化的適応とともに身体的適応を果たした。彼らは乾燥酷寒の環境に生き残り、氷河期が終わると南下を開始、それまでに培った文化的適応力を発揮して勢力を広げ、各地の先住民と混血し、東アジア全域に影響を及ぼしたとされている。これが現在のモンゴロイドの分布である。アメリカ大陸には原モンゴロイド的要素をもつアメリカ・インディアンが存在し、アジアには寒冷適応を経た新モンゴロイドが分布するのである。
●モンゴロイドの特徴
皮膚の色は淡褐色から濃褐色まであり、日焼けしやすいと言われている。日照の強い地方ほど皮膚の色は濃い。毛髪は黒色が普通で、太くて直毛が一般的である。小児の臀部から背部の皮膚には青い小児斑がみられる。頭形は中頭から短頭のものが多い。頬骨は突出し、顔は平面的なものが多い。鼻根部を含め鼻の高さは、ごく低いものもみられるが通常は中程度で、鼻の幅も中程度である。上眼瞼の内側がひだ状に目頭を覆う内眼角ひだが発達する。北部居住の者ほど一重まぶたが多い。軽度の歯槽性突顎はしばしばみられる。上顎切歯の舌側面にくぼみがある、シャベル型切歯が一般的である。指紋は渦状紋が多く、弓状紋は少ない。アジアのモンゴロイドの血液型はB型が多く、A型は少ないと言われている。南北アメリカ大陸のモンゴロイド(アメリカ・インディアン)はほとんどがO型で、一部の集団のみにA型が存在し、B型は存在しない。
参考文献
「海を渡ったモンゴロイド」 著者・・・後藤 明
「海のモンゴロイド ポリネシア人の祖先をもとめて」 著者・・・片山 一道
「環太平洋インナーネット紀行-モンゴロイド系先住民の叡智-」 著者・・・星川 淳