ユニバーサルデザイン2

出典: Jinkawiki

ユニバーサルデザインとは、ユニバーサル=普遍的な、全体の、という言葉が示しているように、「すべての人のためのデザイン」を意味し、年齢や障がいの有無などにかかわらず、最初からできるだけ多くの人が利用可能であるようにデザインすることをいう。


目次

ユニバーサルデザインの歴史

1990年代に入り、アメリカではADA法が成立した。それを契機とし、当時建築家で大学でも教鞭をとっていた故ロナルド・メイスはそれまでのバリアフリーから「ユニバーサルデザイン」という考え方・手法を提唱した。メイス氏は1989年、現在の研究所の前身であるセンター・フォー・アクセスシブルハウジングを設立し、主に居住空間(バス・トイレ等)に関するユニバーサルデザインを研究・設計していたが1996年には活動の変化に伴い「センター・フォー・ユニバーサルデザイン」とした。 日本で初めてユニバーサルデザインという言葉が使われたのは1996年、「人にやさしい公園づくり-バリアフリーからユニバーサルデザインへ」(著者:浅野房世・亀山 始・三宅祥介 出版:鹿島出版会  発行:1996年6月30日)という著書の中だった。その後新聞や各メディアで取り上げられ、企業の間にもこの考え方が取り入れられるようになった。また、地方自治体でも2000年ごろから静岡県や熊本県で取り組みが始まり、現在では他の道府県でもホームページ上などで取り組みが報告がされるようになった。


ユニバーサルデザインの7つの原則

ユニバーサルデザインという言葉や考え方は、1980年代にノースカロライナ州立大学(米)のロナルド・メイス氏によって明確にされ、7つの原則が提唱されている。

1.誰でも使えて手にいれることが出来る(公平性)

2.柔軟に使用できる(自由度)

3.使い方が簡単にわかる(単純性)

4.使う人に必要な情報が簡単に伝わる(わかりやすさ)

5.間違えても重大な結果にならない(安全性)

6.少ない力で効率的に、楽に使える(省体力)

7.使うときに適当な広さがある(スペースの確保)



背景

人権の世紀

これからの社会では、男性も女性も、子供も高齢者も、障害のある人もない人も分け隔てなく今まで以上にひとりの人間として尊重され、それぞれの個性が大切にされていくことが重要である。 ユニバーサルデザインの底流にある年齢、性別、国籍等に関係なくすべての人に公平で平等な利用という考えは、これに立脚したものと考えられる。


高齢者の世紀

今世紀半ばには世界の大半の国々で高齢化が進み、全世界的な高齢化社会の到来が予想されている。 今後、高齢者の方々にとっても暮らしやすい社会をつくっていくことは、ごく当たり前なことであり、そのためにユニバーサルデザインの考え方を様々な分野に取り入れていくことには大きな意義がある。


環境の世紀

限りある資源を有効に活用し、未来に向って持続可能な社会を作り上げ、次世代に受け継いでいくことが使命といえる。環境への負荷が少ない経済社会システムへの変革のためにも、だれにでも長期にわたって利用できる視点を持ったユニバーサルデザインの考え方は、非常に重要であると考えられる。



ユニバーサルデザインとバリアフリーの違い

どちらも、誰もが快適に暮らし、自由に参加できる社会をつくろうという目標は共通である。 バリアフリーは、障害をもった人が社会生活していくうえでの障壁(バリア)となるものを取り除くことである。もともとは段差解消などハード面(施設)の意味合いが強いが、広い意味では障害のある人の社会参加を困難にしている障害・障壁の除去(ソフト面での思いやり、気持ち)を含んでいる。 それに対して、ユニバーサルデザインとは、「すべての人が安全、安心して生活し個々が自立できるために、改善又は特殊化された設計無しで、利用しやすい環境とデザイン」のことをいう。 簡単にいえば、バリアフリーはもともとあったバリアを取り除くこと。それに対しユニバーサルデザインは最初からバリアのないことを指す。

現在は、「ユニバーサルデザイン」を理想としつつ、「バリアフリー」の観点を積み上げようとしている。


参考文献

「ユニバーサルデザインのちから ~社会人のためのUD入門~ 」関根 千佳著 生産性出版


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