ユニラテラリズム(単独行動主義)
出典: Jinkawiki
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ユニラテラリズム
単独行動主義(ユニラテラリズム)とは、二国間の交渉と合意を重視する二国間主義(バイラテラリズム)や、全ての関係国が対等な立場から目標と枠組みを作り、そのルールに基づき行動する多国間主義(マルチラテラリズム)と対比される言葉である。 その特徴は次のとおりである。
①他国との協力より自国の力に依存する傾向。
②自国の理念・国益を国際社会全体の目標と強弁する独善性。
③外交交渉・多国間の決定枠組みからの制約を嫌い、単独行動する傾向。
米国の立場
米国はブッシュ政権成立以降、圧倒的な軍事力を背景に単独行動主義的傾向を強めた。対テロ戦争への協力を取り付けるため、一時は国際協調路線に転じたが、その後、国連決議を得ないまま対イラク戦に踏み切り、批判を浴びた。 いまではアメリカの独断的で一方的な外交姿勢を指す用語となったユニラテラリズムは、もとは「自らの判断で、一方的に」核軍縮を推し進めて相互の信頼を築く政治手法のことだったという。しかし、戦後イラクの安定に国際社会の協力が必要となり、ブッシュ大統領は関係が冷却化していた仏独首脳と会談するなど、再び協調姿勢をアピールした。
アメリカの一国主義に歯止めをかける流れ
アメリカの圧倒的な軍事力によるイラクへの侵略→占領というなかで、戦勝国アメリカとそれにすり寄る国が大手を振っているかに見える。しかし、一方では、アメリカの一国主義に歯止めをかける流れは広がっている。
サミットに先立って、中国・胡錦濤主席はロシア・プーチン大統領首相と会談、「強権政治と単独行動主義がこの不安定な世界に新たな不安定要素を加えている」とアメリカの単独行動主義を批判し、国連を中心にした国際関係の民主化を提唱した。
サミットの総括(まとめ)では、イラク復興問題は「国際会議の準備会合を歓迎する」として国連の役割が協調され、、北朝鮮問題は「平和的な手段で解決」としてアメリカや日本が主張する「圧力(=武力)」による解決は盛り込まれなかった。
サミット後の記者会見で、シラク・フランス大統領は「イラク戦争は不法なもので、今後も承認しない」「戦争は一国でもできるが平和は一国ではできない」として、アメリカのイラクへの武力行使を認めず、多国間協調の必要性を改めて表明した。
日本の立場
日本は国際的にどのような立場にあるのか、それをアメリカとの間で結ばれている「集団的自衛権」をもとに見ていく。 日本とアメリカのようなユニラテラルな同盟国2国間だけで適用される「集団的自衛権」は、排他的色彩が強く、NATOのようなマルチラテラルな同盟国グループにおける「集団的自衛権」の透明性に比し、その民主的運用はとても困難をきわめるという意見がある。
逆に、多国間主義(マルチラテラリズム)を取るNATO加盟国ドイツの場合、逆にその軍事行動はNATO軍配下でふるまうが、例えば米軍のアフガニスタン攻撃にはそれを支持し戦後の治安部隊出動に積極的に協力したが、イラク攻撃の際には批判的にアメリカに対峙し、いっさい協力をしなかった。
つまり多国間主義(マルチラテラリズム)といっても各参加国の行動はあくまでもその自主性が担保されているということになる。
これは多国間主義(マルチラテラリズム)の強みだといえる。
つまりドイツは、軍隊を出す準備はあり出すならばNATO軍配下でいつでも国際協力するが、あくまでも出す出さないはドイツ自身が主体的に決めることができる。
一方、2国間同盟においては、他方が攻撃を受けた場合自動的に「集団的自衛権」の名のもとに相手の戦争に巻き込まれてしまう、そういった危険性がつきまとう。
自国の自主的な判断がヘタをすると担保されない可能性がある今の状況を危惧する声もあるのが現状だ。
参考文献
www.worldtimes.co.jp/word/030930.html
chiezou.jp/word/一国主義
d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070427/1177671050 - 50k
「正義の倫理」ジョージ・W・ブッシュの善と悪 ピーター・シンガー著 昭和堂 2004年